現地メモ1。 

3月17日

 現地のことやボランティアのことなどで、いろいろ問い合わせのメールをいただいている。以下は、主に県外の人に向けた実務的な情報メモで、自分が見聞きしたもののみ。範囲は、青森県八戸市から岩手県宮古市までとなっている。

ボランティア関係:

 ボランティアに行きたい人はたくさんいるだろうが、被害の甚大な被災地で今すぐ必要なのは、人よりモノである。今日は、岩手県宮古市の宮古小学校に食料やマスクやおむつなどの物資を届けた。各地から届くはずの救援物資はまだ追いついておらず、手で運べる精一杯の量の物資だったが、とても喜ばれた。避難所のなかでも特に小学校は、お年寄りや子どもが多い気がする。家庭科教室で、お母さんたちだろうか、女性らが炊き出しをしていた。

 岩手県野田村や宮古市街など、被害の多い場所の捜索活動は自衛隊や消防団や地元の青年団などがあたっているし、瓦礫の除去はショベルカーなどの重機を使っている。青森県八戸市と三沢市は、ボランティアを募集しているが、今のところ市民のみで、外からの人は受け付けていない。現地に知人がいる人は、個人的に手伝うのがいいかもしれない。

 前述したように、今は人よりモノが求められているが、冠水のみといった比較的被害の少ない村や公共の港などでは、がれきの除去に関して人手を必要としている。この場合は体力仕事なので、男手ということになるだろう。

 以上のことは、地震から一週間しか経っていない現在の状況なので、今後、物流がスムーズになれば、モノより人が必要とされる時期が来ると思われる。

ガソリン関係:

 岩手県久慈市内の一つのガソリンスタンドでは朝7時から給油可能になるも、昼前に売り切れ。「5時間待ったけど、油なくなったよ」と、前のほうにいたおばちゃんが嘆いていた。岩手県内の多くのガソリンスタンドは閉まっていて、オープンしていても緊急車両のみ可能というところが多い。だが、時々どこかのガソリンスタンドが開いて、一般の人も給油可能となる。みんなどこからともなく情報を聞きつけ、すぐに行列に。

 売り切れになったガソリンスタンドの従業員に話を聞くと、「2、3日したらくると思います」とのこと。余談だが、ガソリンのことを、岩手の人はみんながみんな「油」と言っている。

 岩手県北部最大の被災地、野田村から少し南に行ったところにあるスタンドは、今日と明日、給油可能。行列もナシ。ただし、一人1000円分まで。

 コスモ石油は、ほとんどが閉店。出光は、専用車両のみのところが多い。エネオスのみ、一般車両が可能なスタンドをいくつか見かけた。ただし、ほとんど一人1500円、もしくは1000円分まで。

宿泊関係:

 岩手県北部では「久慈グランドホテル」が営業中。部屋はがらがら。ただし、暖房と電気スタンドは使えない。お湯は出る。

 宮古市街では、「ビジネスホテル宮古ステーション古窯」のみ営業。ただし、部屋はほとんど満室。電話が通じていないため、予約はできない。宮古市に物資を届けたり、ボランティアに行くなら、テントと寝袋持参の自給自足態勢で向かったほうがいい。

 宮古市街から10分、海沿いの高台にある「浄土ヶ浜パークホテル」が開いているかもしれないという情報を聞いて行ってみると、新聞などには掲載されない非公式の避難所になっていた。絨毯の廊下やロビーに布団を敷いて、多くの人が雑魚寝していた。天井は高く、室内は暖かい。

 同じく宮古市街から15分のところにある「東本陣」という大胆なネーミングのラブホテルにも行ってみた。入口にある看板の電飾が光っていて、フロントの奥からテレビの音も聞こえたが、しかし誰もいない模様。部屋に行ってみると、すべての部屋に「在室中」というプレートがかけられていたにも関わらず、お客は誰もいない雰囲気。避難所にもなっていないようだし、ちょっと不気味。電話も不通。

その他:

 岩手県中部の今日の最低気温はマイナス5度、昨日から断続的に雪が降っていた。風が強く、外に出ている場合は、体感気温はもっと低い。灯油の不足などから、被災地の人は大変寒い思いをしている。外から来る人は、マイナス10度くらいまで耐えられる冬山用の暖かい寝袋を用意する必要があるだろう。もしくは、久慈グランドホテルのような、部屋に空きがたくさんあって、被災者の迷惑にならないホテルを利用するという方法もある。

 現地の情報は、青森県なら「東奥日報」と「デーリー東北」、岩手なら「岩手日報」と同じく「デーリー東北」などをチェックする。朝日、毎日、読売の中ほどにある地域面もかなり充実している。新聞を細かくチェックして、各避難所の状況を把握し、どこに物資を届けるべきか考えてから行動するといい。ちなみに、17日の岩手日報に、宮城県石巻市出身の辺見庸さんの連載の最終回が載っていて、さすがに切れ味が鋭かった。

 被災地から少し離れたら、コンビニやスーパーが開いている。もちろんモノは多少少ないが、その店まで行くことができてお金がある人なら困ることはない。それをどう届けるかのほうが問題。

 風が強く、瓦礫から様々な物質を含んでいるであろう砂塵が舞い続けている。エベレスト街道の砂埃よりも、破壊的に細かい砂風で、デジカメは一日で壊れた。マスクは必須。雪が降る日は、地面がぬかるんで、運動靴ではとてもじゃないが歩けない。長靴、もしくは、くるぶしまである登山靴がいい。

 とにかく、歩くこと。自動車が通行止めになっている道も多いし、ガソリン不足ということもあって、地元の人は吹雪の中で自転車をこいだり、徒歩で移動したりしている。雨に打たれながら、雪に足をとられながら、砂塵に巻かれながら、荒野と化した被災地を歩いていると、あらゆる感情がこみあげてくる。歩くことによって、何をすべきかおのずとわかってくる。