クムジュン村。 

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4月2日

 朝はナムチェでのんびりしていた。ナムチェでは、毎週土曜日にマーケットが開かれる。写真は、週に一度のマーケットで開かれる肉の卸売りである。昨日の夕食はヤクのステーキと書いたが、どうやらバッファローの肉だったようだ。聞くところによると、最近は本当に歩けなくなったときだけ、ヤクを殺して肉を食べるが、ナムチェの飲食店で提供される肉の多くはバッファローの肉を使っているとのこと。インドから輸入されている肉も多い。
 出発前に本橋成一さんから新しい写真集『屠場』(平凡社)が送られてきたのを思い出す。大阪の屠場の過去と現在を撮影した鮮烈な写真集だった。牛や豚を殺す屠場は、日本では公に人目に触れることがない。ゆえに差別の対象にもなってきたわけだが、その肉によって生かされてきているのは自分たちである。少なくともネパールでは動物を屠り、食べるという行為が、すぐ身近な場所にある。

 ナムチェのマーケットで写真を撮り、フィルム3本消化。この旅に、コダックのブローニーフィルム・ポートラ160NCと400NCをあわせて120本もってきている。すべて220の長巻きフィルムである。去年から今年にかけて、エベレスト街道はすでにさんざん歩き回って、写真を撮りまくっているので、ここまで一枚も撮らなかったが、ナムチェのマーケットで久しぶりにシャッターを切った。
 ちなみにこのブログにアップしている写真は、キャノンから新しく発売されたGPS付きのコンパクトデジカメで撮っている。Sサイズ・50KB程度の軽いデータで撮影し、メモ代わりにしている。カメラにGPSがついているので、外で撮影をすると写真に位置データが記録されて、旅には便利だ。

 NHKの『グレートサミッツ』という番組を作りに来ている隊も、すでにナムチェ入りしていて、その中の一人の方にナムチェのベーカリーの近くで出会った。5月末放映のはずだが、果たしてどんな番組になるんだろう。

 ナムチェで昼ご飯を食べて、午後からクムジュン村へ。一時間程度であっという間にクムジュン村へ到着した。標高3800メートル。富士山の頂上とほぼ同じ高さにある小さな村である。
 クムジュン村で数日ぶりに温かいシャワーを浴びて、日本のコンビニで買った「極潤ヒアルロン酸」とかいう化粧水を顔に塗りたくり、いつも髪を切ってくれている床屋さんでもらった馬の脂(?)のクリームを同じくべちょべちょに塗った。こういうのをたまにつけないと皮膚がぱりぱりになってしまう。ぼくは日焼け止めもあまり塗らないのだが、長丁場では気をつけないといけない。そして、着っぱなしだった服も洗濯した。
 今年エベレストに入る多くの隊は、みなナムチェに長く滞在するが、HIMEX隊は、年々ツーリスティックになるナムチェは1泊するだけにとどめて、観光とは縁遠い静かなクムジュン村で2泊する。この選択は、間違っていないと思う。クムジュン村は登山に関わる多くのシェルパたちの故郷でもあり、彼らのバックグラウンドを知るためにもクムジュン滞在は有効だろう。
 ぼくらが泊まるのは、ヒラリー卿が作ったヒラリースクールのすぐ近くにある、タシロッジとシェルパランドロッジで、ぼくはシェルパランドロッジのほうに泊まることになった。
 クムジュンは本当に静かな土地だ。