ネット接続ままならず。 

4月10日

 朝7時にシェルパが、テントまでおしぼりとミルクティーを持ってきてくれた。こんなサービス、10年前にはなかったことだ。熱いおしぼりで顔を拭き、ミルクティーを飲み干した。
 朝起きるとピーボトルが凍っていた。ピーボトルとは、テント内で小便をするときに使う、1リットルのナルジンボトルのことである。ナルジンボトルも、今や何種類もの色が出ているが、水が漏れない、落としても割れない、そして軽いという信頼性は、昔から変わらない。もちろん飲料水を入れるのにも使うのだが、ぼくはナルジンを見ると小便を思い出す。
 ピーボトルに小便をするときは、二回が限度である。三回すると、高確率であふれる。
 ナムチェあたりで中古のナルジンボトルがいくつも売られているが、そのどれかがかつて誰かのピーボトルであったかもしれないと思うと、いくら安くても買う気にならない。
 8時から朝食。朝食後、我が家としてのテント内をさらに使い心地がいいように整理する。
 12時半から昼飯。昼飯後、ポンプのついたお湯タンクを使って体を洗った。昔の長旅では一ヶ月シャワーを浴びなくても大丈夫だったが、ここでは時折シャワーを浴びたくなる。体がきれいになると、皮膚呼吸の効率があがって、元気になる気がする。まあ気のせいだろうが。
 午後、Ncellのインターネット接続をあらゆる方法で試すが繋がらない。日本をはじめ、各国でニュースになった“あれ”は何だったのか?Ncellがゴラクシェプにアンテナを立てたから、5300メートルのエベレスト・ベースキャンプでも携帯が繋がり、ネット接続もできるようになったというあのニュースのことである。
 結果からいうと、あのニュースはガセであった。ベースキャンプから接続を試みると、Ncellは一日のうち、気まぐれに10分ほど繋がることがあるが、すぐに切れる。確実なネット接続や電話での通話を求めるなら、ゴラクシェプまで戻らなくてはいけない。慣れれば、ベースキャンプからゴラクシェプまで歩いて45分だが、あの山道をネット接続のために往復するのは大変面倒である。このブログ更新も、ベースキャンプでのNcell接続が前提であった。しかし、その前提が崩れたため、更新は何日かに一回になるだろう。あるいは、どこかの丘に登れば繋がるなどといった裏技が見つかればいいのだが。
 衛星電話のほうは、晴れていればきっちり繋がる。しかし、電話での通話は1分4ユーロとバカ高い。メールの送受信は、1通の送受信につき1ユーロだったか忘れたが、とにかくとんでもない額で、使う気にならない。そんなお金は持ち合わせていない。うーむ、困ったことだ。Ncellよ、もう少しがんばってくれ。
 今回の更新もゴラクシェプの近くまで戻って、更新している。雪が降っているとソーラーパネルでのPC充電もままならない。仕事のメールを、皆さんがんがん送ってきてくださるが、すみませんがもろもろすべて遅れると思います。先が思いやられるなあ。

*写真は、ラッセル隊(HIMEX隊)の雪のベースキャンプ。例年なら、こんなに早くから雪が降りまくることはないのだが……。想像以上に寒い。5300メートルはあなどれない。