二ヶ月にわたるテント生活の始まり。 

4月7日

 ペリチェを出発して、ロブチェ・ベースキャンプへと向かった。賽の河原のような荒野をヤクと共に進んでいく。エベレスト界隈で亡くなった人々の碑が建立された峠を越えて、ロブチェの街の手前に、HIMEX隊のロブチェ・ベースキャンプが作られている。

 今年からテントが新しくなった。以前はネパール製のドーム型テントだったが、今年から中国のTOREAD社製のものになった。TOREADは日本では聞き慣れないメーカーだが、中国の登山用具メーカーのなかでは大きなシェアを獲得している。HIMEX隊に頻繁に参加している中国人女性クライマー、ジン・ウォン(通称ジンジャー)が社長を務めており、去年もTOREAD社製のテントを、ローツェで試したりしていた。

 新しいテントは気持ちがいい。ジッパーもスムーズに開閉するし、ゴミも落ちていない。あわせて50張り以上のテントが立ち並び、ロブチェBCは一大HIMEX村の様相を呈している。

 今日から二ヶ月にわたって、テントと寝袋の生活に突入する。古ぼけたベッドが二つ備え付けられただけの、寒々しいロッジ生活とはもうおさらばだ。

 テントに荷物を運び入れ、暮らしやすいように配置を整えた。キッチンテントには去年も世話になったクブドゥたちがいた。今年は参加者の人数が多いためにトイレは二つ作られた。

 標高4900メートルに入り、体調を崩す者も出てきたが、ぼくは今のところ快調そのものである。一年前の順応が身体に残っているとは考えにくいが、あれから一年、ヒマラヤのゴーキョピークやブータンの高地に頻繁に足を運んでいたので、身体が高所に慣れたのかもしれない。

*写真は、ロブチェ・ベースキャンプに歩いて行く、ラトビア人のクリスティーナの後ろ姿。