コンラッド・アンカーの息子と出会う。 

4月16日

 ナムチェのパノラマロッジで朝9時頃に朝食。「デラックス・ブレックファスト」というメニューを注文すると、カリカリベーコン、じゃがいも、焼いたトマト、オムレツ、リンゴジュース、コーヒーが出てきた。美味しい。

 パノラマロッジのレストランで、一昨日から毎日顔を合わせる長身の若い白人がいるので、話しかけてみると、なんとコンラッド・アンカーの息子だった。コンラッドもパノラマロッジを定宿にしているが、その息子もパノラマロッジを拠点に旅している模様。

 コンラッド・アンカーは、去年のこの日記にも登場した、世界的なアルパイン・クライマーである。1962年アメリカ生まれ、南米や南極などの山で未踏ルートをいくつも登り、1999年に、あのマロリーの遺体をエベレスト山中で70年ぶりに発見したことでも有名になった。

 シェルパの故郷であるポルツェ村に、登山家のアレックス・ロウが作った、シェルパのための学校「クンブー・クライミング・センター」があるのだが、アレックスが山で亡くなった後は、コンラッドが実質的な校長を務めている。

 そのコンラッドの息子は、写真家だった。写真を撮りながらクンブー地方をまわっているという。コンラッド・アンカー自身は、今エベレスト・ベースキャンプにいて、しかもHIMEX隊のすぐ隣にベースキャンプを作っているらしい。

 コンラッドは、アメリカのノースフェイス、ナショナルジオグラフィック協会、モンタナ州立大学のサポートを得て、「Everest Education Expedition2012」という名のプロジェクトを立ち上げ、今春エベレストにやってきている。今回はコリー・リチャーズと組んで、西陵からエベレストの登頂を目指す。他のメンバーは南東稜(ノーマルルート)から。

 遠征の目的は、雪をかぶったエベレスト山頂の本当の高さを測り直し、石を採取して調べ、さらに高所における人間のphysiologyを調べる、とチラシに書いてあった。

 今年のエベレストは、ウーリー・シュテックもいるし、コンラッド・アンカーもいて、ちょっと面白いメンツが集まっている。そういえば、エベレストではないけれど、ギリギリボーイズの面々がバルンツェにいる、と倉岡さんが言っていた。またも難しくてわくわくするような登攀に取り組んでいるのだろうか。
 とにもかくにも、春はヒマラヤが最も活気づく季節である。

 昼食は、ナムチェ・ベーカリーでピザトーストとレモンチーズケーキとロングブラックコーヒー。長居して、原稿を書く。

 夕方、マッサージ屋をのぞいて値段を確認すると、一時間2000ルピー(2000円)だという。ナムチェのマッサージ屋も、てもみん並か、とため息が出る。カレー粉をふりかけたピーナッツなどを、雑貨店で買った。どこの店の品揃えがいいか(商品が新しいか)、だんだんとわかってきた。

 今日もシェルパにネパール語で話しかけられた。ぼくの顔はそんなにシェルパ顔なのだろうか。嬉しいけど、帰国して、きちんと社会復帰できるか心配になってくる……。

*写真は、ナムチェベーカリーのピザトーストとレモンチーズケーキ。うまい。