ムスタン、富山、新潟、新宿、デリー、ダッカ。+赤々舎でのイベ ントおしらせ。 

 ネパールのムスタン滞在は、幸せな日々だった。ヒマラヤ周辺の王国は、ブータンをはじめ、旅先としては非常に魅力的な地域ばかりである。なかでもムスタン王国は、遺跡や建築物を通じて古いチベット仏教文化に出会えるばかりでなく、人々の心の内に根付いたチベットの精神性というものをあちこちで垣間見ることができる。

 道中は馬に乗って移動し、ジョムソンからカグベニを経由してローマンタンに入って、チベットとの国境まで行ってから、再びカグベニへ戻った。日本人としてはじめてチベットに潜入した河口慧海は真に独創的な旅人だったと思うが、今回ムスタンを旅して慧海をより身近に感じることができた。しばらくは折に触れて彼のことを調べていきたい。

 ムスタンから帰国後、ぼくは富山の利賀村と新潟の越後妻有を行き来していた。

 富山の利賀村では、「演劇人コンクール」が開催され、その審査員を務めた。およそ一週間のあいだに8つの演劇を観て、鑑賞後は演出家や俳優や他の審査員の方々と演劇について話すという毎日で、そのあいだに三島由紀夫や三好十郎やベケットなど、いくつかの戯曲を読みこんだ。

 利賀村での一週間は、地域の静寂とは裏腹に、極めて刺激的な日々となった。
 若手演劇人による芝居を集中して観るという面白さに加えて、何より収穫だったのは、利賀村という土地を知ったことである。利賀村はムスタンのトゥクチェ村と姉妹村になっており、トゥクチェ村の僧侶がこの地にやってきて、巨大なマンダラを描いている。マンダラが展示されているのは「瞑想の郷」という施設で、日本にいながら、ムスタンの空気を吸うことができる希有な場所となっている。

 利賀村は富山の山奥にある過疎の村である。そんな地で、チベットやムスタンでも見られないような金剛界曼荼羅や胎蔵曼荼羅と、ほぼ貸し切り状態で、しかも丁寧な解説文付きで向かい合うことができるという事実を、もっと多くの人に知ってもらいたい。もし富山に行くことがある人がいたら、ぜひ「瞑想の郷」への訪問をお勧めする。

 こうした富山での日々と前後して、越後妻有で「大地の芸術祭」が開幕し、新潟市内で「水と土の芸術祭」が開幕した。

 越後妻有では旧名ヶ山小学校が「アジア写真映像館」として生まれ変わり、森山大道さんらと共に、ぼくはヒマラヤの写真を展示している。

 会場は中国の写真家、ロンロン&インリさんが中心に作り上げたものである。
 ロンロン&インリさんの写真は、以前、銀座の資生堂ギャラリーで見ていた。彼らは北京の「三影堂芸術中心」という写真センターの代表でもある。彼らの他にも中国の写真家や雑誌の編集者らと新潟で会い、いろいろ語り合うことができた。年末~来年にかけては、ぜひ中国に行きたいと思っている。

 新潟市内の「水と土の芸術祭」では、古民家で「異人」をテーマにした新作の写真を展示している。8月25日には前田司郎さん率いる五反田団が、ぼくの写真展会場で「怪談」を行う予定になっているので、みなさんぜひ。
http://www.mizu-tsuchi.jp/artp/ishikawa_naoki/
 写真展の会場であるる旧笹川邸という古民家は不便な場所にあるので、25日の「怪談」当日は連絡バスが出るそうです。詳しくは以下。
http://www.mizu-tsuchi.jp/news/旧笹川家住宅に「異人」現る!/

 富山と新潟を行き来する一週間が終わった直後に新宿で坂口恭平くんと対談し、その翌日からぼくはインドのデリーに飛んだ。その後、コルカタに移動して、いまはバングラデシュのダッカにいる。8月10日に帰国し、8月11日12日は、赤々舎で写真のイベント「HEMISPHERE」を行う予定だ。

 赤々舎のギャラリーで、ぼくがこれまで世界中で撮影した300枚近い写真を展示し、入場者はその中から2枚を選ぶことができる。そのうえにシルクスクリーンで文字を刷り、その場で購入していただく、という新しい試みである。

 ぼくは2日間とも会場にい続ける。もちろん写真を買わなくとも無料で入場できるので、ぜひ遊びにきてください。申し込みは以下からです。
http://www.goliga.com/ishikawa/
http://www.akaaka.com/events/events-circus/ev-circus-ishikawa.html
 では皆さん、週末、赤々舎でお待ちしています!