サマゴン村へ 

8月29日

 カトマンズのホテルで早朝5時起床。ラッセルが苦心してホテル前の中庭からヘリを離陸させる約束を取り付けたのに、天気が悪く、結局空港から飛ぶことになった。もう通い慣れた、あの猥雑な国内線空港へ。チャーターヘリだが、天候の関係で数時間も待たされて、そこからヘリでサマゴン村へ飛んだ。

 もし視界が悪ければ、「サマゴンの手前、歩いて3時間の場所におろすけど勘弁してくれ」とヘリ会社の人に言われて覚悟していたが、どうにかサマゴン村まで飛ぶことができた。ただ、途中で雨が降ったり、霧に包まれたりして、肝を冷やした瞬間が何度かあった。

 ヘリが着陸する原っぱに、プルバやニマ君が迎えに来てくれていた。懐かしいシェルパの面々と再会できて嬉しい。

 サマゴン村は緑の谷の中にある。周囲の山の斜面から、幾筋もの白い滝が流れ落ち、川は黒みがかった乳白色をしている。マナスルは雲に隠れて見えない。HIMEX隊のキャンプサイトは、エベレストのベースキャンプのように整然とテントが並んでいた。いつも通りぼくたちが一番乗りで、他の隊はまだ来ていない。キャンプサイトの目の前にある宿屋は工事中で使えず、BCに入る以前、サマゴン村からテント生活を開始せざるをえなかった。

 キッチンにはクブドゥがいる。あの笑顔を見ると、遠征がはじまったんだな、と思う。サマゴン村は案の定小雨が降ったりやんだりで、聞いていたとおりの天候である。

 今日はテント内を整えたりして、のんびりと過ごすことになった。目の前にあるマナスルは朝からずっと雲に隠れていて、まったく見えない。

 テントに入ると、雨がテントを叩く音がする。ついにマナスルに来たんだな、と思った。