BC帰着、順応の第2ステージ終了。 

9月10日

C1(5500m)→BC(4700m)

 C1のテント内で、朝4時半頃、Mさんがトイレに行く音で目覚めた。標高5500メートルでまだ2泊目ということもあり、未だに熟睡はできず、起きては眠ってを繰り返している。朝がちゃんと来てよかったと思う。

 午前6時前まで寝袋の中でうだうだしていたが、気合いを入れ直して、コンロに火を点けて、氷水からお湯作りを開始。Mさんにいただいたフィルター付きコーヒーを煎れる。コーヒーフィルターは目が細かくていい。雪の中の砂やゴミを取り除いてくれる。

 コーヒー一杯とクッキーを二切れだけ食べて、それを朝食とした。C1にデポする荷物をパッキングし、さらにBCへ持ち帰る荷物をパッキングする。

 カメラはマキナ670とフィルム数本、そしてキャノンのコンパクトデジカメをC1にデポすることにした。多少乱暴に扱われても壊れないように、それらをダウンスーツに包んだ。

 BCに持って帰るものは少ない。余った食料と大便を持って帰る。小便は雪の上にして、大便は袋のなかに入れてBCに持ち帰ることになっている。ぼくらは大便を入れる袋を「shit bag(クソバッグ=携帯トイレ)」と呼んでいるが、それを昨夜テントの後室に置いておいたので、凍ってくれているはず。今日はそれを持ち帰る。自分の排泄物の処理をここまで徹底している隊は決して多くない。

 朝7時ちょうどにC1から下山開始。G君と早足で下り、BCに午前8時15分着。急げば1時間強でC1からBCへ下れることがわかった。

 クレバスに落ちて足をひねったウィムだけが遅れたが、他の人々も続々とBCに帰着し、高所順応の第2ステージを無事に終えた。あとは、C1一泊、C2二泊、C3タッチの高所順応最終ステージをこなすことができれば、マナスルの頂上が見えてくる。

 シェルパたちは、ぼくらのBC帰着を待って、休暇のためサマゴン村へと下っていった。C2までのルート工作、おつかれさま。彼らにとっても、束の間のレストである。

 午前9時からBCにて遅い朝食。目玉焼き二つと味噌汁、それとぼくの好きな豆とベーコンを食べる。胃腸は回復し、食欲も一気に増進した。朝食後、久々のメディカルチェック。SPO2値は89で、何の問題もない。

 一時間遅れの昼食は13時半から。生野菜サラダ、揚げチーズパン、ジャガイモのニンニク炒め、魚の缶詰だった。

 午後、小雨がそぼ降り、さらにシェルパも村に下ってしまったためバレーの試合も開催されず、BCは静謐そのものである。洗濯をしたいが、寒くてその気になれない。シャワーも同様だ。

 夕方、暇だったので「今日の石川」風にセルフポートレートを撮ってみたら、そんなに痩せているようには思えなかった。出発前は腹を壊して「激やせ疑惑」(某編集者談)が噂されていたが、だいぶ回復したということだろう。

 18時半からの夕食では、鮭のホイル焼き、マッシュポテト、ご飯、野菜炒めを食べ、デザートは缶詰のモモだった。完食。魚をもっと食べたい。

 夕食後、プロゴルファーのダリルと話していたら「次の順応で6000メートルにタッチできたら本望」みたいなことを言っている。おいおい、もうマナスルの頂上をあきらめちゃったのか……? クレバスに落ちたベルギー人のウィムは、片足をひきずりながらストックを杖代わりにして歩き、「今までの8000m峰遠征の中で今回が一番やばい」などと呟いている。でも足を見たら全然腫れていなかったし、そんなに重傷には思えないのだが。今回はどうも外国人勢が頼りない。

 21時半頃までダイニングテントで他愛のない会話を続け、テントへ。22時頃、就寝。今日はよく眠れそうだ。

*写真はHIMEXベースキャンプ。真ん中にバレーボールコートのネットが見えるだろうか。