順応の最終ステージ開始。 

9月12日
BC(4800m)→C1(5500m)

 昨夜、シェルパ全員がサマゴン村から帰ってきた。朝食後、彼らはバレーボールコートに突如できたゴルフ場を見て、早速クラブを握りしめて、遊んでいた。シェルパたちは何をやらせても抜きんでているが、特に野外スポーツに関しては素晴らしい。

 ホールインワン賞が設定されて、ホールインワンが出たら2000ルピー(約2000円)とのことで、シェルパたちが俄然やる気になった。

 そして、その脇でプルバがテキ屋になっている。ゴルフボールが入る筒を持ってきて空に向かって斜めに固定し、そこから数メートルのところに石を置いて、客はそれ以上筒に近づいてはいけない。客は目印の石のところから、筒に向かってゴルフボールを投げて入れるのだ。縁日の輪投げやマト当てゲームみたいなことが突如始まって、笑える。ボールは一つ100ルピーで5回まで。全部入れたら1000ルピーだったかな、倍になってお金が戻ってくるというルールらしい。「ナオキもやれ」と言われたが、損をするのがわかっていたので、やらなかった。プルバは運動神経の他に、商才もある。

 昼食をいつもより一時間早い11時半に食べた。デザートに、サクランボ入りの真っ赤なゼリーが出て、嬉しい。10月にNHKの『グレーテルのかまど』という番組に出るのだが、なぜかぼくの担当回のテーマは「ゼリー」。マナスル遠征でゼリーを食べるときは必ず撮影してきてください! と言われているので、きっちり撮影した。味も美味しかった。2000年に参加した「POLE TO POLE」のとき、北極でぼくは仲間にゼリーを作ってあげようとしたのだが、寒すぎてゼリーの弾力が出る前に凍ってしまったという悲しい思い出(笑)がある。

 昼食後、12時半から13時頃、高所順応の最終ステージが始まった。まずはBCからクランポン・ポイントへ。そして、さらにC1へと向かう。途中までガイドも追い越して、先頭で歩いた。みぞれが降っていて、足もとの雪が弱くなっている。せまいクレバスがいくつもあるので、足を踏み外さないように注意した。身体中を濡らしながらC1に到着。BCからC1まで3時間もかからなかった。

 C1の雪は汚いので、スコップでうっすらと表面だけを削って、テント袋に詰める。いつもの水作りに精を出した。C1の夕食は、アルファ米とさんまの蒲焼きの缶詰にした。さんまの蒲焼きは、昨年のエベレスト遠征でアタック前にNHK隊にいただき、頂上へ向かうエネルギー源になったものだ。今回はスカイ・ザ・バスハウスのKさんがどこかから探して、餞別としてぼくにくれたものである。相変わらず、さんまは美味かった。

 18時過ぎ、寝袋に入り、就寝。といってもすぐには眠れないのだが。

*写真は、水作りの様子。鍋には取っ手がないので使いづらい。コンロの右にある袋がテントバッグ兼、雪をためる袋。