アマダブラムBC到着。 

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10月30日

 朝6時前に起きてパッキングをして朝食を摂り、ヘリが来るのを待つ。シェルパニコルの手前でフランス人の男女の一人が足を骨折し、レスキューヘリがルクラから出た。そのヘリがヤングラカルカに一時停止してシェルパを拾い、シェルパニコル方面へと飛んでいった。

 ぼくが乗るヘリが来るのは、このレスキューが終わった後になるだろう。フランス人も登山に関してはそれなりの熟練者だったようだが、今秋の大雪には勝てなかったのである。

 9時過ぎ、ヤングラカルカにSIMRIK社のヘリが到着。

 眼下にはシェルパニコルやウエストコルが見える。ぼくたちが越えたかった峠である。二つの峠を繋ぐ氷河は一面雪に覆われていて、もちろんトレースなどはない。今シーズン、この峠を越えることは不可能ではないか。

 前方にはマカルーが見える。かっこいい。バルンツェが左手に見え、奥にはアマダブラムが見える。ぼくがいつも見ている方向からとは異なるアマダブラムが間近にある。堂々とした雄姿だ。

 ヘリのパイロットがアマダブラムBCのラッセル・ブライスと交信。あと10分でBCに着く、と。久々にラッセルの声を聞いて、嬉しくなった。

 BCにはヘリが停まれるほどの広さのヘリポートが、シェルパたちによって手作業で作られていた。ヘリは無事に着陸。ラッセルが迎えてくれた。

 ようやくアマダブラムBCに到着である。倉岡さんや平出さんとここに来て、ついに合流することになった。他にはメキシコ隊もいるが、彼らは明日には登頂をあきらめ、BCを撤収するとのこと。北稜には、今たった2隊しかいない。それが明日にはぼくたちだけ(HIMEX隊だけ)になる。アマダブラムのノーマルルートには150人以上もの登山者がひしめいているというのに、だ。そしてアマダブラムのノーマルルートも未だ登頂者が出ていない。この10年に一度の大雪のせいである。

 今年はアマダブラムに登頂できないかもしれない。ノーマルルートならまだしも、北稜はかなり厳しい。シェルパニコルも越えられなかったし、アマダブラムにも登れなかったとしたら・・・、うーむ、これでテレビの取材は成立するんでしょうか・・・。まあいい。ぼくはぼくの旅を遂行し、ベストを尽くす。それだけだ。

 ベースキャンプは美しい場所だった。エベレストとローツェが正面に見え、その対極にアマダブラムが堂々とそびえている。アマダブラムの稜線上に地獄の炎のような雪煙が舞っている。そこを倉岡さんとシェルパ二人がルート工作をしている最中で、双眼鏡を使うと小さな点のように人が見えた。

 夕方BCに帰ってきた倉岡さんによれば、雪の深さは2メートルから3メートルもあり、ピッケルは役に立たず、片手にシャベルと片手にスノーバーで雪を崩しながら登っていくしかなかったそうだ。スクリューは効かず、風が強くて、シェルパもびびってしまってなかなかルート工作が進まないらしい。状況はこれ以上ないほどに最悪。数日以内にようやくキャンプ1を設営できるかどうかという状況だ。

 BCは、14時までは日があたって暖かいのだが、14時を過ぎると、とんでもなく寒くなる。やはり北面というのは、どの山でも同じで日当たりが悪いのだ。今回ぼくは、ダウンスーツも8000m用の靴も持ってきていない。持ってくればよかった、といまちょっと後悔している。

 咳がでる。さてこの先どうなることやら。

*写真は、エベレストやローツェを背景にしたアマダブラム北稜のBC。