ブロードピーク・サミットプッシュ1日目。

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7月26日
BC→C2

 ブロードピークのサミットプッシュへ向かう。午前2時起床、3時出発。暗闇の中、ヘッドランプのあかりを頼りにモレーン上を進む。

 ABC(クランポンポイント=デポキャンプ)到着後、ハーネスとヘルメットを身につけて出発態勢に入る。が、空を見上げると、雲に覆われて星が見えない。この時点で、シェルパにもパキスタンハイポーターにも、そしてメンバーにも「これは厳しいんじゃないか……」という雰囲気が広がる。天気が悪いので引き返したほうがいいのでは……という空気が完全にできあがるも、ラッセルに無線でこの状況を伝えると「あがれ。さもなくば、これで遠征終了だ」と言われる。

 ラッセルの強い物言いに、従わざるをえない。「行こう」。誰からともなくザックを背負い、岩場を登り始める。

 雪がでてきたところで、アイゼンを装着。斜面をしばらく登っていくと、ある場所で皆の動きが止まった。前回は難なく登れた場所が雪がなくなったことによって、完全に岩壁状態に。少々難しい岩登りを強いられる。時間がかかるも、どうにか完登。その後も雪がなくなったことによって、あるいは雪面の表面が一度溶けて凍ったことによって、登攀の難易度は確実に上がっていた。

 C1も雪が溶けて風景が変わっていた。すでにどの隊も撤収しており、C1にはHIMEXのデポテントしかなかった。C1で数分休んでから、さらに登る。

 さすがにC1を飛ばしてC2ダイレクトはつらい。疲弊しつつもC2到着。C2にはオレンジのマウンテンハードウェアのテントが一張りだけあって、それ以外は、HIMEXのテントのみ。今季のブロードピークは誰も登頂できないまま終了しており、ぼくたちの隊が一番最後までねばっている。

 C2から、カナダ人のニックとテントをシェアした。ニックはアンダーアーマーの役員で、たくさんの山に登っている。20年近く前、未踏峰としては当時の世界最高峰だったフンザのバトゥーラという山に向かい、足の指を凍傷で失っている。2メートル近い身長のある大男で、話していて気持ちのいい人間だ。

 C2のテントの入り口からK2が見える。ラッセルの言うとおり、引き返さず無理して登ってよかった。雲が消え、天気が一時的に回復してきている。

 夕方5時頃には寝袋に入った。

*写真は、テントをシェアしたニック。