怒涛の二カ月半。

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 K2遠征から帰国して、早くも二カ月半が経とうとしている。気が早い話だが、来年のK2遠征に関する情報がぼくのところに入っていて、参加できるかどうか、検討しているところだ。

 HIMEXは今夏のK2遠征で大きな打撃を受けた。テントや寝袋、酸素ボンベを含む多くの装備を南南東リブのキャンプ3にデポしたまま、それを回収できずに撤退を決めたため、来年の遠征を遂行するためには、それらをすべて新しく買いそろえなければならない。

 そうした事情もあって参加費は大幅にアップし、55000ドルという金額に跳ね上がった。これは今夏のK2とブロードピークを両方合わせた費用と同程度である。昨今の円安も手伝って、K2のみの遠征にこの支出はかなりきつい。今夏はシャネルの協力などによってなんとか遠征に参加できたが、はたして来年はどうなるか。いろいろやり方を考えなければいけない。

 同時に、ぼくが前から憧れていた世界第三位の標高を誇るカンチェンジュンガにも隊が出そうな気配がある。カンチェンジュンガは春。K2は夏。とても行きたい…。が、しかし…。

 今夏の遠征の成果は、12月5日からはじまる写真展『K2』で発表する。会場は銀座のシャネルビル四階、ネクサスホール。
http://www.chanel-ginza.com/nexushall/

 展覧会と同時に、SLANTから写真集も発売予定だ。TOO MUCH MAGAZINEでもヒマラヤ特集号を展覧会に合わせて出版する予定になっている。どちらも乞うご期待。平凡社の連載『ぼくの道具』も年内には単行本として刊行を予定している。

 そうした展示や出版の準備に奔走しつつ、この二カ月、様々な場所を移動し続けていた。スケジュール帳を見ながら、自分の足取りを振り返っていこう。

 8月、帰国してすぐ、マームとジプシーの『コクーン』を橋本で観た。その後、福島へ行き、マームの藤田くんや音楽家の大友良英さんと共に福島の中高生と演劇を作るプロジェクトがはじまり、今は毎月のように福島へ通っている。これは来春に形になると思うので、またブログなどでお知らせしたい。

 8月末、富山県利賀村でSCOTの芝居を観て、毎年恒例の山に打ちあがる花火を堪能した。日本の夏に戻って、人心地。カラコルムの殺伐とした風景から日本の里山に来ると、どうしようもなく癒される。

 青森の民俗資料館で小さな展示がはじまり、初台で理策さんと対談し、知床の小学校で授業をし、新潟でノイズムの舞台や濱谷浩さんの展示を観て、高松で写真のワークショップをし、別府で混浴温泉世界の大友さんの作品を観た。

 このとき別府で撮影した動画の編集が終わり、YOUTUBEにアップしたので、ぜひ見てほしい。大友さんの『バラ色の人生』という作品をぼくが撮影したもの。以下。
https://www.youtube.com/watch?v=mtIh6smoBsY

 9月、沖縄に行ってフォトネシアの打ち合わせをして、神保町で服部文祥さんたちとK2をテーマに鼎談し、国会前のデモに二回参加し、青森でも写真のワークショップをはじめ、四日市の大好きな書店メリーゴーランドで毎年恒例のトークイベントを行い、アンサンブルアジアのプロジェクトで大友良英さんたちとベトナムへ行った。このベトナム滞在もかなり面白く、何をしていたかは近々アンサンブルアジアのサイトで見られるようになると思う。
http://orchestra.ensembles.asia/

 9月末、大竹昭子さんと森岡書店でトークをし、麹町で服部文祥さんと石川竜一くんら(すごいメンツ…)とカレーを食べ、新潟で伊藤俊治さんと対談し、同じく新潟で大友さんのオーケストラを聴き、久々に奄美大島を訪問し、さらに能登半島に行ってキリコ祭りを撮影し、東京国際写真祭というイベントにも参加した。

 東京国際写真祭は2020年まで毎年続けることを目標にしている。写真雑誌やカメラメーカーの色が濃くない、ニュートラルな写真のフェスティバルは実はありそうでなかったので、是非ともがんばって続けてほしい。打ち上げの屋形船パーティーも楽しかったなあ。

 10月12日、原宿のVACANTでK2総まとめ報告会、長野の松本で講演、東京に戻って『エベレスト3D』という映画を試写会で観た。この『エベレスト3D』、いつ公開なのかわからないが、とても面白いので、皆さんにおすすめしたい。

 映画『K2』はしょぼかったが、こっちの映画はすごくいい。クラカワーの『空へ』に描かれた1996年のあの事件を描いているが、決して『空へ』を原作にしておらず、あの日の悲劇を多角的に描いている。『エベレスト3D』なんていうタイトルだから、エベレストの映像を3Dで見られるくらいのものだろう、と高をくくって観に行ったら大間違いだった。映画として秀逸。泣けた。3Dはおまけで、はっきり言ってどうでもよい。

 10月中旬、福島に行って中高生の登校風景を撮影し、学校内でも撮影させてもらった後、ふらふらの状態で東京に戻って、羽田から出国。サンフランシスコを経由してカナダのエドモントンに入り、王立アルバータ博物館で新作個展『Across Borders:』の設営をした。これはカナダのアルバータ州と北海道の姉妹都市提携35周年を記念するもので、カナダ大使館から依頼を受けて実現した。昨年アルバータ州で撮影した写真と、北海道でこれまで撮影してきた写真を組み合わせて展示している。

 もしカナダ近郊にお住まいの方がいたらぜひ遊びにきてください。
http://www.royalalbertamuseum.ca/exhibits/feature.cfm?id=787

 昨日、展示のオープニングパーティーが開かれ、北海道からは副知事をはじめ、たくさんの来賓の方がエドモントンにいらっしゃって、賑やかな会を終えたばかりだ。ぼくは英語と日本語でスピーチをせねばならず、冷や汗ものだった。

 今はカナダから帰国している最中で、帰国した翌日には青森に行かねばならない。こんなに慌ただしい毎日をおくっていて、ただでさえ時間がないのに、妄想ストーカーの女性が現れ、空港で待ち伏せされたり、K2出発前から変なメールを執拗に送られ続けたりして(警察などに通報済み)、ともかく目が回るような二カ月半だった。

 この調子で、年末までみっちりと予定が入っているのだが、とりあえず元気にやっている。気づいてくれた方がどのくらいいるかわからないが、ホームページ(http://straightree.com)を刷新して、NEWS欄をこまめに更新していくように決めた。写真展やトークイベントなどの情報をどこよりも早く(ホントかな…?)アップしていくので、今後はこのブログだけでなく、ホームページのNEWS欄をチェックしてほしい。

 またプロフィールページの展覧会のところは、今までの展示の、ほぼすべてのフライヤーをアーカイヴ化して誰でも見られるようにした。20代前半からこんなにもたくさんの展示をやってきたのか、と自分でも驚いている。今まで出した写真集内の写真もWORKSというページで、ある程度は見られるようにした。このおかげで外国からの問い合わせが急増し、英語メールへの返信が滞って、それが目下の悩みである。

 そんなわけで、今後も展覧会やトークが色々あるので、皆さんに会える機会も増えるだろう。時間があったら、是非とも遊びにきてください。次はいつの更新になるかわからないが、またどこかで会いましょう!

*写真は、現在写真展を開催中の王立アルバータ博物館(カナダ・エドモントン)のエントランスホール。