『ヒマラヤ——自然,神秘,人間——』B.C.オルシャーク、A.ガンサー、A.グルシュケ、E.M.ビューラー 

  • 『ヒマラヤ——自然,神秘,人間——』
  • B.C.オルシャーク、A.ガンサー、A.グルシュケ、E.M.ビューラー(編著)/薬師義美(監訳)
  • 日本テレビ放送網株式会社


わたしたちが今日賛美を惜しまぬこの山脈は、地質学的に観るとそれほど古くはない。山脈の形成過程はいまなおつづいているのである。いまだに隆起(年間約1cmといわれるが、その時期と場所は一様ではない)や地震を引き起こす水平移動がつづき、この事実を証明している。北へ向かって移動するインド亜大陸と、非常に入り組んだ構造のユーラシア大陸の南端との衝突によって、ヒマラヤ、トランスヒマラヤ、そしてカラコルムの山脈が生まれたことには、今日もはや疑いをはさむ余地はない。

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つい最近『昨日までの世界』(日本経済新聞社)を読み終わったばかりだ。ベストセラーになった『銃・病原菌・鉄』の続編で、600万年の人類史における599万年、すなわち農耕以前の世界を描いている。ヒマラヤが地質学的にみるとそれほど古くないなどと言われてしまうと、人類の誕生などまだ細胞レベルだろう。地球には本当に果てしない時間が流れている。



古典的なヒマラヤ大遠征は「シェルパの背を借りて」行われたものである。ネパール北東部、正確に言えば、エベレスト山群の南のクーンブ地方を故郷とするこの独特な部族は、もともと東チベットのカム地方の出身で、それはその名(シェル=東、パ=人)にも示されている。


この本、とっくの昔に絶版になっているが、ヒマラヤを知るための本としては、極めて良くまとまっていてオススメだ。地政学的なヒマラヤばかりでなく、周辺の文化などについても豊富な図版とともに紹介されている。