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	<title>リトルモア広場</title>
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		<title>梅佳代さんの「街角! ハンサムさん!!」第6回、アップしました！</title>
		<description><![CDATA[梅佳代さんの「街角! ハンサムさん!!」第6回、アップしました！ 第6回のハンサムさんは、ふわふわオムライスが似合う、東銀座の喫茶店ボーイ・土橋くん。 第6回：土橋くん（東銀座）]]></description>
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		<title>第6回：喫茶店の三浦春馬、土橋くん（東銀座）</title>
		<description><![CDATA[新春第一弾のハンサムさんは、東銀座の喫茶店「YOU」でバイトしている、三浦春馬似の土橋拳（どばし・けん）くん。「相手の目をじっと見つめる」という危険な癖を持つ拳くんの視線ビームに胸を貫かれ悶絶するアラサー女子たちの様子をお楽しみください。 第6回：喫茶店の三浦春馬、土橋くん（東銀座） ハンサムさん UMEMO おまけの写真 編集後記 名前：土橋拳 年齢：20歳 身長：174cm 出身：静岡 職業：フリーター 好きな有名人：田中麗奈 好きなお笑い芸人：さまぁ〜ず ペット：犬（ボス）、猫（ミー） 好きな漫画：ハンターハンター 一番目に好きな色：赤色 二番目に好きな色：黄色 三番目に好きな色：緑色 バレンタインデーのチョコの最高数：10個 現在彼女はいるか：いない 東銀座の喫茶店「YOU」にて〜フランスから一時帰国中の梅さんのお友達、栄子さんも急遽参加し、女4人でハンサムを囲みながら〜 （以下、土＝土橋くん、梅＝梅佳代さん、栄＝栄子さん、田＝編集・田中、Ｔ＝編集Ｔ） “喫茶店の三浦春馬”の危険な視線 梅：この制服似合うよね。世界一似合うんじゃない？ 土：……（ニコッと笑う）。 Ｔ：先日この喫茶店に来た時に土橋くんを発見したんですよ。私みたいに声をかけるお客さん、結構いるんじゃないですか？ 土：いえ、全然いないです。バイト始めたの、5日前からなので。 一同：えええ〜〜!? Ｔ：えっ!? じゃあ、先日私がここでお声がけした時は……。 土：2日目でした。 梅：ヤバイ！ 2日目でスカウトされるなんて、シンデレラストーリーじゃない？ Ｔ：この取材を受けてシンデレラになれるのかは微妙ですけどね（笑）。 梅：びっくりした？ 東京ってこういうところか、と思った？ ホストの勧誘かと思った？ 土：いや、思わなかったです（笑）。 梅：でも、こんな展開になるとは思わなかったやろ？ 女4人に囲まれて。 &#8230; <a href="http://www.littlemore.co.jp/hiroba/ume/1522.html">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
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		<title>山田かおりさん「株式会社 家族２」第17回、アップしました</title>
		<description><![CDATA[路上販売の東西模様。愛郷心は姉ちゃんを救う！ 第17回：占い師]]></description>
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		<title>第17回：占い師</title>
		<description><![CDATA[株式会社&#160;家族２ 占い師 　 　ときどき東京の路上で服を売り、ときどき大阪へ遠征するのが趣味だった。 　心斎橋の路上で服を売っていたとき、近くでたこ焼きを売っていたおっちゃんに「姉ちゃんそらおっちゃんに千円払わなあかんわ」と言われた。おっちゃんのたこ焼き屋はいつも暇そうだった。 　毎日私が千円払っていれば、おっちゃんは「がんばれや」と暇を見ては応援に来てくれた。ときどきバイト帰りの妹も遊びに来てくれるので、私がたこ焼きを買ってあげようとしたら「さっき立ちションして たけどな」と言った。路上だし、おそらく洗わなかったその手を使ってたこ焼きを回しているのだろうと思い、買うのをやめた。 　こうして私の有意義な夏休みは終わり、東京に戻る。東京では私から千円を巻き上げるおっちゃんに遭遇することはなかったが、私がブルーシートを広げると、どこからか警察官が来て撤収させられた。私はカラフルな服をバッグにしまいながら千円ですべてを黙認してくれていたあのおっちゃんの存在がありがたいものだったことに気付いた。 　次の夏もまた私は心斎橋にブルーシートを広げに出かけた。近くには人気の占い師がいるらしかった。長い行列の先に見えたパネルには、テレビや雑誌で取材を受けたときの切り抜きを拡大して貼ってあった。そして占い師はとても占い師らしい服を着ていたけれど、遊びに来た妹によってそれが去年のたこ焼き屋のおっちゃんであると確認された。今でも路上の占い師を見るたびに、本当は元たこ焼き屋なのではないかと疑っている。 　その夏、華麗な転職をとげたおっちゃんの占い屋台は流行っていた。おっちゃんは私から千円を巻き上げる暇があるくらいなら、一人でも多くの女性の手相を虫眼鏡で見ていた。夜になって私がブルーシートを畳んでいると、おっちゃんも占い屋台の撤収にかかっていた。 　去年この街を “おれの街”と言い切る何人もの“自称地主”から私を守ってくれたおっちゃんに「お疲れさま」と言って私が帰るとき、隠れてお金を数えていたおっちゃんは、私のことを覚えていない顔をした。心斎橋の警察官は酔っ払いの世話に忙しかったり、喧嘩を止めるために急いで自転車で通り過ぎるから私のことなんか見えていなかった。 山田かおり 題字：山田まき 絵：山田ひでお 　]]></description>
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		<title>第30回：おばあちゃん女の子</title>
		<description><![CDATA[　2011年11月5日から渋谷ユーロスペースで横浜聡子監督最新作『真夜中をとびうつれ』『おばあちゃん女の子』の2作品が公開されます。 　『おばあちゃん女の子』は野嵜好美さん演じる主人公妻はつえと、僕が演じさせていただいた夫たかしのある1日の物語です。 　当たり前かもしれませんが、僕は好きな映画を何回も観ます。もちろんおもしろいから何度も観たいのですが、何度観ても何がおもしろいのかわからないから観ている、という気持ちもあります。筋書きの立たない感情が映っているからかもしれません。理解する過程をすっ飛ばしても説得力がある映画は、不思議で、魅力的です。 　『おばあちゃん女の子』も僕はきっと何度も観てしまうと思います。感情の、不思議と魅力が観られると思います。 　第14回で書いたモグロという男がいます。高校時代の友達で、その名の通り漫画『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造によく似ており、心が広く、焼け野原と呼ばれる場所に建つアパートに住み、ヒッタクリで捕まった男であります。捕まったとき、鑑別所から「めっさええとこや」とモグロが電話をくれたのが、思えば最後の会話でした。その後引っ越したり電話番号が変わったりしていつのまにか連絡手段がなくなり、以来十数年会う事はありませんでした。しかし僕はモグロを忘れた事はありませんでした。謝りたい事があったのです。高校時代、モグロの心の広さをいい事に、僕はモグロに散々な仕打ちをしていました。本当は仲が良いのに人前では殴ったりしていたのです。連絡が取れなくなったのは、後ろめたさから連絡しづらくなったことも原因にありました。 　2月ほど前、僕はプリンターが欲しくて探していました。プリンターを買うのは初めての事で、どういうプリンターを探していいのかもわからないまま、ありとあらゆる電気屋をうろつき回っていました。もうすでに1ヶ月間くらい探していた頃だと思います。電気屋に入る事が癖のようになっており、その日の夕方も帰りに某大手家電量販店へ自然と入り、プリンター売り場に寄りました。売り場はメーカーごとにコーナー分けされており、それぞれに販売員が2人ほど待ち構えていました。僕は1ヶ月間悩んだ結果、これかなというメーカーＡのプリンターを見つめていました。するとＡの販売員の男が話しかけてきました。僕は以前から販売員を信用出来ません。商品の良さを説明されればされるほど、疑わしく思えてきて、販売員のカモにされるのが恐くなり、結局、買うのを止めてしまいます。このときもＡの販売員がこのプリンターのここが良いと言えば言うほど、銭のために無理矢理ポンコツを僕に押し付けようとしているように思えてきました。しかしもう1ヶ月間もそうやって毎回人を疑っていたので僕は疲れていました。もうこれ買っちゃおうかな、と思ったとき、Ａの販売員の肩越しに別のメーカーＢの販売員の男と目が合ったのです。最初、「こいつも俺をねらってる」と思い、警戒して目をそらしました。でもなんでか気になりＡの陰からもう一度Ｂの男を見てみると男はまだ僕を見つめていました。僕も今度はしっかり見てみました。Ｂの男は体が大きくがっしりとしていて、顔も大きく、口元が特徴的で喪黒福造に似ていました。 　Ｂのプリンターを提げ、モグロの仕事が終わるのを待って、2人で飲みに行きました。すぐには気づかないはずで、モグロは十数年前よりもだいぶがっちりとした体になっていました。聞けば趣味はジム通いとフットサルだと言います。僕の方も老けたのか、モグロも「誰かわからんかったわ。お前は顔が優しくなったなあ」と言いました。酷い事をした昔から比べれば優しくも見えるでしょう。僕はずっとモグロにした事を後悔し、思い出すたびに謝りたいと思っていました。だから再会が本当に嬉しく、今こそという思いで僕はモグロに謝りました。するとモグロは「そんなことあった？　覚えてないわ。気にせんでエエ」とあっけらかんと言い、今もなお心の広さをみせてくれたのです。しかしなぜでしょう、許してくれたモグロに喜ぶ反面、許すモグロの口ぶりに僕は「ア？」と反応していたのです。「なんやお前気にせんでエエって？誰に言ってんねん」と自分でも不思議なくらい自然と、懐かしい高校時代のツンケンした気持ちが蘇っていました。僕は心の中で昔の自分と戦いながらモグロと話しました。モグロは今に至った経緯を話してくれました。ヒッタクリの後、高校を辞め、大阪のうどん屋で働き、大阪の金持ちの女の人と結婚し、離婚し、千葉の海の家やペンションで働き、千葉の金持ちの女の人と付き合い、上京し、その彼女と同棲し、Ｂの販売員として働き…。 「でも彼女がホームシックになって1年前から実家に帰ってんねん。2LDKに１人や」 「そうかあ、それは寂しいなあ」 「今の楽しみは地元の仲間とフットすることや」 「大阪のやつらとよく会うんか？」 「違う違う、千葉の仲間。何人かこっちにおんねん」 お前の地元は焼け野原やろ調子乗んなよ、と昔の僕が喉元まで出てきていましたが、こらえて、「○○君覚えてる？」と楽しい昔話に話題を変えようとしました。しかしモグロは「全然覚えてへん。で千葉の彼女の実家がな…」とまた地元の話に戻してしまうのです。モグロはわざと昔の話を避けているのではなく、本当に忘れているようでした。僕はショックでした。確かにモグロの近況を聞いているとヒッタクリくらいしか目立った事の無い高校時代を忘れても仕方が無いくらいこの数十年は大変だったようですが、僕は高校時代の僕らの友情や、僕の懺悔までポイっと捨てられたようで寂しく、むかついたのです。いやむかつく資格は無いのですが、「金持ちの女は辞めといた方がエエで。苦労するで」と僕に助言するモグロに、どうしても違和感があるのです。僕の心のモグロとは再会出来ていなかったのです。 　次の日、僕はモグロに電話を何回もしました。Ｂのプリンターがポンコツだったからです。動かぬプリンターをモグロに重ねて罵りました。「いつでもわからなかったら聞いて」と仕事で使う標準語でモグロが言っていたので、仕事中かなと思いながらも電話しました。そのうちモグロと電話がつながり「プリント出来ひんねんけど」と言うと、モグロはああしてみてこうしてみてと指示をくれましたが、それでも、プリンターは動きませんでした。だんだんと腹が立ってきて「もうええわ」と電話を切り、タバコを吸っていると、どこにも差されていないプリンターの線の先っぽが見えました。 モグロに電話をして2日連続で謝りました。モグロは「エエから、気にすんなや」と言いました。モグロの声と一緒に家電量販店のざわめきが聞こえており、忙しい最中であることは間違いありませんでした。 　新しいモグロもやはり心の広い、いい奴でした。今僕がモグロを好きな理由は昔と同じ「心の広い、いい奴」という単純な一つでした。そのことを改めて感じ、モグロと再会出来たことがとても嬉しく奇跡的な事に思えます。 　人の感情は1人の中に1つではなく、複雑にいくつも持ち合わせているのに、友達や夫婦でいる理由は単純な1つであるということ。しかもそれだけで繋がっている凄さを『おばあちゃん女の子』で僕は見ました。その凄さが、よくわからないおもしろさに説得力を与えているのだ、と思うのです。]]></description>
		<link>http://www.littlemore.co.jp/hiroba/mine/1478.html</link>
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		<title>山田かおりさん「株式会社 家族２」第16回、アップしました</title>
		<description><![CDATA[父さんの友だちをさがしてください。 第１６回：人さがし]]></description>
		<link>http://www.littlemore.co.jp/hiroba/news/1463.html</link>
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		<title>第16回：人さがし</title>
		<description><![CDATA[株式会社&#160;家族２ 人さがし 　 　 　背中に視線を感じながら私がパソコンに向かっていると「坂本進て入れてみるか？」と父が切り出した。誰なのかと聞くと「小さいときの友達や。坂本君や」と言った。 「坂本君も父さんのこと覚えとるはずやぞ」 　そんな父の目が輝いていたから“坂本進”“寝屋川市”というたった二つのキーワードを頼りに私は無謀な検索を開始する。 　画面上に現れる大勢の坂本進たちのプロフィールを私が読みあげるたびに「ちがうな」と父は不服そうな顔をした。ときどき「おっ」と興味を示す瞬間もあったけれど「あいつはもっと偉い奴になっとるからちがうな」と言った。「坂本君は賢かったんや」 　父のイメージ上で大人になった坂本進と実際の坂本進が一致するのか疑いながら、今度は画像検索を試みた。けれど父は、いろんな坂本進たちの顔写真を見ては「こんな顔ちがうなあ、なんでや」と不満気だった。 「パソコンは何でも調べられるはずやぞ」とまるで私の力不足みたいに言う。それは父から得られる情報が不足し過ぎているせいだ。 　ついに坂本進を諦めた父だったが、今度は「落合も調べてみたらええんちゃうか」と提案してきた。苗字以外にヒントはないのかと聞くと、「落合は船に乗っとった」との情報をもらう。下の名前は忘れたらしい。 　父さん、“落合”“船”じゃ無理やねんと私が諭すと「遠藤も調べてみたらどうや」と提案してきた。 山田かおり 題字：山田まき 絵：山田ひでお 　]]></description>
		<link>http://www.littlemore.co.jp/hiroba/kazoku/1457.html</link>
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		<title>第29回：愛と冒険　第五部</title>
		<description><![CDATA[　秋になって、5年暮らしたアパートを出た。 　ヒデオとムスメはヒデオの実家に先に越した。キョウコはヒデオ達が越してくる前に新しい介護人の電話番号を残して出て行った。トシオから聞いた。トシオは私とムスコの引っ越しを何故か手伝いにきた。ズラこそ新しくなっていたが、トシオの態度は毛ガニの一件の前となんら変わらなかった。トシオにムスメの様子を聞くと、「ネエさん今の子はそのへんたくましいんや！　アメリカンナイズされとるからな！　離婚の2、3ベンなんてどうって事ないわ！　大人より大人や！　ははは！　いや、大人が子供や！　ネエさんも兄ちゃんも負けとる負けとる！　キョウコも負けや負け！　俺は勝ちやで？　逃げてへんもん大人だもん。ロマンチックな大人なのよ。嘘やないでホンマやで！」と言っていた。 　私は知り合いのクリーニング屋を継いだ。平屋で手前が店、奥が住居。住居の真ん中へんにくっついているコンクリ張りの風呂場。風呂場についた勝手口から出る小さい庭がついている。おとついムスコが犬を拾ってきた。風呂場を犬小屋にしている。庭に大きな古い木が一本生えていて、物干を置いたらもう場所がないので犬小屋を置けなかった。勝手口を開け放して昼は庭と風呂場をぶらぶらさせている。 　今日は店の定休日で、離婚してから初めて実家へ行く。風呂場に犬を入れるムスコに「名前つけた？」と聞いたら「まだ」と言う。水も餌も全部自分でやりたがるので先に外に出る。店を抜けて、店の入り口兼玄関でムスコを待っていると、風呂場からうっすら「コロ、水のみ」とムスコの声が聞こえた。この家に来る前、引っ越しの費用を借りに弟のミツオの家にムスコと行った。ミツオは今や立派に嫁と子供3人と暮らしており、2年くらい前に家も建て、そこのきれいな芝の庭で飼っている犬の名前がコロだった。 　「はよ行くでー！　おやつ買ったらんぞー！」とムスコを呼ぶと、飛び出して来る。 　母は私が嫁に行った後、家を買った。今はそこに父と二人で暮らしている。母の土地は、まだ大阪一にはほど遠いがうまく転がってちょっと大きくなっていた。駅から5分歩いて着く。父は競艇場に出勤していて、母1人だった。家の中は静かだった。離婚する少し前から母は私を呼び戻そうとした。離婚した後、やはりこの家に来いと母は言ったが、断った。年をとり、みんないなくなって寂しいのだろう。冷たいようだが母の言葉を優しさにはとれず、勝手さばかり感じてうんざりした。 　母は昼飯にごちそうを用意していた。私がまだ学生の頃、母は少し無理してでも正月にごちそうを作ってくれた。懐かしいものばかりだった。ムスコが大喜びで食べているのを見て母が「アンタ、ちゃんと食べていけてんのか？」と私に聞いた。またこの家で暮らせと言ってくるかと思い、牽制する気持ちで「順調や」と答えた。「そうか」と言いながら母が泣き出した。 「ちょっと何お母さん？　そんなに寂しいんか？」 「あ？　何言ってんの？　ちゃうちゃう、アンタのあんときの昼飯思い出して泣けてきたわ。あのひもじいの子供と食べて…」 　母がアパートに乗り込んできた日の昼飯の事だろう。自分じゃ、そんなに粗末な物を食べているつもりはなかった。それに嫁へ行く前、もっと貧しい食事をしていた覚えがあった。 「お母さんと暮らしてるときの方が凄まじいごはんよく食べたで…」 「頼むから、子供においしいもん頼むから食べさせてや、食べれんくなったらすぐ帰ってこい」 　母に後悔が見え、私はムスメの顔が頭に浮かび、母への反発よりも同調が上回った。下を向いて肉のスープをすすっていると、ムスコが「ん？」と顔を覗き込んできた。その後は顔を上げて食べた。後悔先立たず。もっとこれから大きくなるであろう後悔に備えてたくさんごちそうを食べた。後悔しながらも役所には結局勝ちつつある母がたくましいと思えた。 　洗い物をしていると父が帰ってきた。酔っ払っており、「お前は賢い！　リコンは正義や！　ババアお前がケチな金よこすから全部負けたやないか！」と帰ってきて早々母にケンカをふっかけた。ムスコに蜜柑を剥きながら母は「うるさいハゲやでホンマ。アンタ一回も負けてない。自分の金で勝負してないやろ。ワタシの負けや」と奇襲に動じず、蜜柑を食いながらの一撃でケンカを終わらせた。帰り際父が真面目な顔して「お前早く再婚せえ。金稼いでるとろくな人間にならん」と母に隠れて言った。 　電車を降り、夕暮れの中、眠ったムスコをおぶって歩いた。電車の中から見た看板の文字が頭にある。『黒木太郎の愛と冒険』。映画かなんかのタイトルだろうか。オペラかもしれない。愛と冒険、という響きに痴話ゲンカを想像してしまう。私は沈む夕日に重ねて私たちの愛と冒険をオペラにして思い浮かべた。初めて見るオペラはくだらないしょーもない全然疲れのとれない物語だった。しかし達成感だけはあった。幕が閉じていくが誰も「ブラボー」を言わない。かわいそうなので自分だけでも「ブラボー」と言おう。本当に声に出して言ったらムスコが起きた。「何？」と言うのでブラボーやブラボー、と教えてやると、楽しそうにブラボーを何回も言う。エエぞ！　そうやブラボーや！　線路沿いの家路を、今日までの賛辞ではなく明日からの励ましのように「ブラボー！」と、ムスコと叫んだ。 　犬に餌をやりにムスコが風呂場へ行った。「おかあさーーん！」と呼ばれ行ってみると犬が死んでいた。庭に埋めようとして犬を抱き上げたら犬の下からなんか出てきてビックリして落としてしまった。コンクリも犬も固くゴンと鈍い音がした。犬の下から出ていたのは柔らかい木の芽だった。庭の老木の新芽がコンクリを突き破って出てきたようだ。ムスコよ得意のあの言葉を言おう。 「ブラボー」]]></description>
		<link>http://www.littlemore.co.jp/hiroba/mine/1442.html</link>
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		<title>第28回：愛と冒険　第四部</title>
		<description><![CDATA[　そういえば、私がヒデオと結婚しようと決めたのは、家を出て行きたかったからである。 　結婚前、私は父と母と7人の姉弟と暮らしていた。線路沿いの一軒家、一階に台所と六畳間、二階に六畳間、外にお便所、お風呂なし、そこに10人。驚くほどぎゅうぎゅう詰めで住んでいた。とてもうるさい家だった。電車が窓のすぐ側を走っていて、家族全員怒鳴るように話した。狭い家は怒声ではちきれそうだった。私は32までそこで暮らした。 　うちの大黒柱は母だった。父が外に出て、母が家にいたから、一見ちゃんとした家庭のようだった。しかし父はスーツを着て毎朝競艇場へ出勤して行った。そして母は家で稼いだ。戦前は家で密造酒を作って稼ぎ、戦中のどさくさにその金で土地を安く買い、戦後に土地を一回転がした利益でアパートを造って家賃収入で家族を養ってきた。 私は8人姉弟の一番上で18からデパートで働き始めた。それからすぐ、母の家賃収入はストップした。アパートと土地を役所に取り上げられたのである。戦中のどさくさに母が手に入れた土地の権利書はどうも怪しいと審査が入り、権利無しと判断されたのである。 　ある日、役人がそれを伝えにきた。母は玄関先で役人に怒り狂って「戦争中の役立たずが何言ってんねん。私はズルしてへん。金払ってるんや。ズルはそっちやろ！」と怒鳴った。それから足下の砂利を摑んで投げ、役人を追い立てはじめた。そこへちょうど競艇場から父が帰ってきた。父は母が役人に言った言葉を自分が言われたと勘違いし、「なんやと！」と母に挑んで行った。母は反射的に摑んでいた砂利を父に投げつけた。父はおでこからちょっと血を流した。父はその後これみよがしに3日間寝込んだが、それはまあいいとして、それ以来母は土地に固執し始めた。 　母はもう1つ別の土地の権利書を持っていた。「アホの役人が。もひとつあんのにバレへんかったわ」と嬉しそうに見せてきた。それを売ってくれれば当面はなんとかなったのだが、母は「アホに取られへんかった土地をうちは大阪一大きくしてみせるで」と宣言した。母は家族を養うのをやめ、役所への復讐をスタートさせた。土地はすぐには大きくならない。収入源は私のデパートの給料のみとなった。 　無理だった。私の1つ下の17の弟はもちろん、12の妹もアルバイトに励み、10、8、7の弟たちも土曜日だけ八百屋でかわりばんこにバイトさせてもらった。さすがに5つ、4つの妹達は働けなかったが、姉弟で力を合わせ、ギリギリなんとかなった。翌年18になった弟ミツオが就職しちょっと楽になった。母の土地はまだ利益が出なかった。 　私が25のとき、24になった弟ミツオはすっかり我が家の大黒柱となっていた。ミツオはいい人がいたようだが、家族を食わすので手一杯で結婚を考える余裕も無く働いていた。私は嫁に行く事を考えた。食いぶちを減らして少しでもミツオに楽をさせたかった。あてもあった。 　しかしその矢先、私より先にミツオが家を出てしまった。母がミツオの名義で勝手に金を借りていたのである。持っている土地よりも高いがどうしても手に入れたい土地があったらしい。ミツオが怒るとそれ以上に母は怒った。「ほんまあほやわ何年か辛抱すればお前の稼ぎの何倍も高くなるんやで！」と母は怒鳴り、その日のうちにミツオは家を出て行った。私はデパートを辞め、スナックで働きはじめた。 　お金がいつまでも足りなく、気がついたら私は32になっていた。そのとき家には父と母と18になった一番下の妹ひとりしかいなかった。みんな高校を卒業するとさっさと出て行った。家の中で電車の音がやたらに目立った。人が減った分楽になるかと思っていたが、稼ぎ手も減るのでべつに楽にはならなかった。みんな薄情だな、と弟妹をうらめしく思ったりもするが、私が一番上なので仕方が無かった。長男のミツオはあれから結婚し所帯を持ったが母を許し帰って来る気配はなかった。私は何軒か移ったりしながらまだスナックで働いていた。言い寄って来る男もいたがみんな頼りなかった。 　ある晩店で、何回か来た事のある頭の禿げた男が一緒にオペラへ行こうと誘ってきた。私はオペラどころか歌謡曲すらまともに聞いた事がなかった。断るつもりだったが、すぐには断らずに「なんでオペラですか？」と男に聞いてみた。私はこの男があまり好きではなかった。地味な顔で禿げているが口ぶりはなんだか色男を気取っており、そのくせ会計はいつも会社宛に領収書をきらせてマメでけちくさい事をした。誘ってきたのは3回目だった。その前は映画と美術館だった。「俺と映画行きたいんやろ…？」「俺に美術館連れていかれたいんやろ…？」「俺がオペラ聞かせたろか…？」毎回誘うというよりは誘ってやったようなニュアンスを漂わせてきてちょっと腹が立った。この年で独身で、スナックで働いているというだけで哀れんでいるのか、なんか上から誘ってくるのである。私は一回裏へ行って、この男がまた来たら、と用意しておいたヒールが10センチもある靴に履き替え、戻ってきてカウンター越しに男の前に立った。見下ろすと、男はあごをバレない程度にぐっと上げた。禿を気にしているのだ。ねらい通りこうするとちょっとムカツキが和らぐ。男がいくらがんばっても私の位置からは土星そっくりな禿頭が見える。 「なんでオペラですか？」 「…なるべく遠くがええやろ？」 「オペラ遠くでやるんですか？」 「大阪球場とかちゃうか？」 「近いですよ」 「あほ、オペラなんか聞いたら外国気分や。気分は遠くやんけ」 「よく行くんですか？」 「初めてや」 「……」 「でもオペラってのはあれや外人の痴話ゲンカや。顔みたらわかる。しょーもないけどエエやろ？　外国でしょーもないもん見て笑ったら疲れとれるやろ？」 「私疲れてませんよ」 「意地はらんでエエ…」 　お前こそそんなにあご上げて意地はらんでエエ、と思いながらも、首がツらんばかりにあごの微妙な角度を保とうとする男の誘いを受けてみようかしら、とも思った。そうだ、首がツったら誘いを受けようと私は決めた。ちょっとチャンスをあげようとして何回か背伸びをしてみたが、私が転びそうになっただけで、「おっちょこちょいやな…」と土星の色男風を無駄に引き出しただけだった。結局その日、男の首はツらなかった。 　家に帰るともうみんな寝ていた。一階では父と母が寝ており、その横の台所の電気だけつけて冷たい水を1杯飲んだ。父が布団を引っぱって母の体が出ているのが薄暗い中見えた。布団を掛け直そうと母の側に行くと、寝間着がはだけていて腹巻きから何か四角い薄いのがちょっと出ていた。そーっと抜いて台所で見てみると、母名義の預金通帳だった。最終項目には私の稼ぎの3年分のくらいの額が記されていた。 　また店に禿げた男が来た。私は靴を履き替えず、横に座って、 　「このあいだ言ってたオペラ連れて行ってください」と男に頼んだ。 　次の月私とヒデオは結婚した。]]></description>
		<link>http://www.littlemore.co.jp/hiroba/mine/1437.html</link>
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		<title>第27回：愛と冒険　第三部</title>
		<description><![CDATA[　ヒデオは嫁が自分の弟に殴られるのを昨日見た。 　俺は弟トシオに久しぶりに会うため、別に会いたくなかったが、仕事を終え生家に足を運んだ。そしたらなぜか嫁サチコがいた。すぐにトシオがサチコを呼んだのだとわかった。生家にはおふくろとキョウコが住んでいる。キョウコは俺に惚れている。トシオはキョウコに惚れている。だからトシオはわざわざサチコを呼んだのだ。俺が困るのを見たかったのだろう。でも俺はそんなくらいでは全然困らない。どうせ皆、俺とキョウコがいい仲なのは知っているのだ。唯一知られたくない母親は不幸中の幸い、今惚けている。 　行ってみると、俺は困らなかったがトシオは困っていた。居間に入るとトシオが手のひらでヅラとカニを受けていた。そしてトシオはサチコを殴った。 　俺も一度だけサチコを殴ったことがある。その時のことを思い出して、俺がサチコを殴った気になった。何してんねんお前、とトシオでなくサチコに怒鳴った。前も同じことを言った。 　俺は惚れられたことしかない。学生のときも大人になってからも女が俺を追ってくる。キョウコのときもそうだった。キョウコは土建屋の事務員をやっていた。地味な女だった。全然話したこともなかったが、ある日仕事が終わり事務所を出るとキョウコが追いかけてきた。領収書がどうのこうのと言ってきたが、ろくに聞かずどんどん歩いた。「ちょっと、この領収書、だめですよ…羽布団は会社じゃ…」なんやかんやと言って俺の後をついてくる。健気だったので一杯やらないかと誘ったら、用事があるから、と断られた。何の用事やと聞くとオペラへ行くと言う。しかも1人で行くと言うので「そんなしょーもないことに時間を使うな」と言ったら、神妙な顔で頷き、飲み屋についてきた。 　店では話すことがなかった。酒ばかり進み、そのうち無理矢理みたいにキョウコに身の上話を始めさせた。キョウコは見合いで20のとき結婚したが、子供の出来ない体とわかり去年29で離婚された。最初のうち旦那がよくオペラに連れて行ってくれたが、最後のころは行かなくなり、旦那の上着からオペラの券が2枚出てきたが誘われず、チケットに書いてあった公演日は過ぎた、と言った。俺は怒った。「オペラってなんやねんエラそうやねん！　養子でも何でももらえばエエやんけ！　そんなことで捨てられたらお前は一生ひとりやんけ！」とキョウコに怒った。俺は酒があまり強くなく、酔っていた。とっくりをひっくり返した。むかしおふくろが親父のひっくり返したとっくりを拾って酒と一緒に涙を拭いていたのを急に思い出した。酒を拭く手を止め弟のトシオを抱いて「あんたがいてよかった」と泣いていたのも思い出し、それを俺が横で見ていたことも思い出した。昔のことなのに今寂しくなって、酔っていたので泣いた。キョウコは酒に強く全然酔っていないようだったが、俺が同情して泣いていているのだと勘違いして「ありがと」と酒を拭きながら目を潤まして言った。それでなんとなく引っ込みがつかなくなりいい仲になった。キョウコには抱く子供がいなく、俺はおふくろに抱かれなかったので丁度いいと思った。「オペラなんてしょーもないもん行くな」とキョウコに言うと、頷いて「そやね、あんなもんしょーもない外人の痴話ゲンカもう聞いたらん」と言った。オペラは外人の痴話ゲンカやったんか、エラそうな感じがするのにやはりしょーもないんか、と内心驚きながら「せやで」とキョウコに言った。 　1週間後キョウコは土建屋を辞めた。会社の金で私物を買い込んでいると疑われ、クビにされる前に辞めた。ヘンな領収書を沢山きっていたとかどうとか、俺は事務のことはよくわからないが、飲み屋でめずらしく酔うキョウコが哀れに見え、「俺が養ってやる」とつい言った。 　言ったはいいが、養う金はなかった。仕方がないのでキョウコにアパートを引き払わせておふくろと住む家に呼んだ。キョウコがうちに来てしばらくして、キョウコの鞄を、ちょっと何入ってんやろ、と気になり覗いたら、オペラの半券が1枚入っていた。 　俺は子供が欲しかったので、キョウコとは結婚しなかった。キョウコがうちで暮らしだして3年経ち、俺は35の時サチコと結婚した。 　おふくろは反対した。「あんたキョウコさんどないするの！　養子をもらうとか、何でも出来るやない。2つも家庭持ったら、お父さんと同じやないの。どっちも不幸にするだけやないの」と泣いて言ったが俺は自分の子供が欲しかった。子供なんていらんと言った親父と俺は違う。キョウコはいいと言った。追い出されなきゃ何でもいいと言った。俺は家を出て小さいアパートに所帯を持った。 　俺が結婚したと聞いてトシオが大阪に帰ってきた。トシオはそのとき、リコーダーの行商をしていて景気が悪かった。新大阪に迎えに行くとくたびれたジャケットにジーパン、腹巻き姿の、だいぶ禿げ進んだトシオが待っていた。昔から好き勝手な弟で一度も同情などしたことがなかったが、自分と同じく30になったばかりでだいぶ禿げた頭を見て初めて同情した。小遣いをやった。 　トシオをアパートに招いてサチコと三人で飯を食べた。「ネエさん、ワイはこれから次世代のビジネスに着手するんや。下駄履いてるやつ最近見たか？これからはズックの時代や！　嘘やないでホンマやで！」と次の商売の話をトシオは延々俺たちに聞かせた。親父にそっくりでなんでもやりたがり、失敗を顧みない。失敗しても痛い目に遭ったことがないからだ。親父もこいつも責任を上手いこと俺やおふくろへ捨てて行く。「こっちのネエさんは料理アカンな兄ちゃん！」とサチコが台所に立ったときに言った。アパートは狭く、トシオの声はでかかった。 　トシオは帰りに「祝儀や！」とさっき俺が渡した小遣いから2万抜いて、1万俺に渡した。「そうや忘れてた、ネエさんに土産！」とサチコにおもちゃのような香水の小瓶を渡した。礼を言うサチコに「あっちのネエさんにだけじゃ悪いからな！」と言って帰っていった。 　トシオはキョウコにもう2、3度会っていた。サチコはキョウコに会ったことはなかったが、サチコの日記に、どこで聞いたのかキョウコのことが書いてあったので、いつのまにか知っていたようだ。俺は週に一度サチコの日記を見る。サチコは流しの下のお茶箱の中に隠している。たいしたことを書かないくせになぜ隠すのか。読んでもつまらないのだが、もしかしたらいつか、たいしたことを書くかもしれないと思うとついつい見てしまう。 　俺はその夜、サチコが寝てからむこうの家に電話した。キョウコが出た。「どないしたん？　トシオちゃんなら今ご機嫌や。さっきはおかあさん泣かせちゃって、ね、トシオちゃんからまたお小遣いもらっておかあさんうれしくって…」「兄ちゃんか！？　兄ちゃんか！？　兄ちゃんこっちのネエさん兄ちゃんおらんくっても俺がおったら全然寂しないってえー聞いたかーアホー」と途中で酔ったトシオの声が聞こえた。俺とトシオの共通点は髪型と酒に飲まれることだ。キョウコと最初の日、俺は飲まれていた、と思い出し、電話を切ってからアパートを出てむこうの家へ向かった。トシオに小遣いをやってしまったから手持ちの金がもう無く、サチコに渡していた封筒から5万抜いた。翌日おふくろに小遣いをやり、キョウコの部屋で外国製の新しい香水を見た。トシオが出て行くまでこっちで寝泊まりをした。 　ムスメが生まれ、サチコとよく喧嘩をするようになった。子供が出来たら俺がキョウコをどうにかすると思っていたらしい。なんでそう思ったのか俺にはわからない。おふくろの面倒も自分がゆくゆくはみる、と言う。当たり前じゃないか、と怒ると泣く。泣かない方の家へ行く。 　ムスメが生まれてもキョウコは怒ったり悲しんだりしなかった。それはそれで寂しいものがあり、「お前はつらないんか、なんで泣かんねん」と俺はキョウコに怒った。キョウコは「私はヒデオさんと会う前がしんどかったから、全然平気」と言った。泣く方の家へ行く。 　俺にムスメが出来たと聞いてトシオがまた帰ってきた。スニーカーが当たったのか景気が良く、ヅラが出来ていた。土産とおふくろへの小遣いも景気が良かった。俺はサチコに実家から金を借りてこさせた。おふくろから、トシオがキョウコを嫁にほしがったが、キョウコが断ったと聞いた。キョウコのことをおふくろが生意気やと言った。 　俺は惚れられる。女に追いかけられる。でもお母さんは俺を追いかけへん。お母さんが追いかけんのはいつも親父とトシオや。親父は俺が15の時に商売に失敗して女と消えよった。親父を追い続けたお母さんには借金が残った。さっさと別れて他人になっておけばよかったんや。お母さんは親父がいなくなったら今度はトシオを追いかけた。トシオのためにお母さんは働いた。俺はお母さんのために働いた。お母さんはトシオの高校進学のために、俺に高校を辞めて就職してほしいと頼んだ。お前には苦労をかけてほんまにごめんねとお母さんは泣いて言ったが、せんでもええよと甘えさせてくれたことはない。せんでもええよと言われるのはいつもトシオや。あいつや親父は逃げてるだけでええんや。追ってくるお母さんがなんとかしてくれる。俺は座って鬼ごっこを見ている。お母さんは鬼や。俺も逃げたかった。 　サチコは一度俺を追いかける途中、道を踏み外した。日記を週1チェックしたかいあって、別の男の子供が腹にいるとわかった。「何してんねんお前、ちゃんと追いかけろや」と殴ったら、サチコは「あんたのせいやないの」と殴り返してきた。止めどなく殴ってくるのでアパートを出て走って逃げた。それでもサチコは追ってきて殴った。俺はサチコの裏切りにまだ腹をたてていたが、俺を追ってきて鬼丸出しで殴ってくるサチコに満足もしていた。だから俺はサチコに子供をちゃんと産ませ、別れなかった。惜しいからではない。サチコが俺を追ってくるからだ。俺は女を追わない。なのにサチコの母親は俺をエロガッパと呼ぶ。 　今日サチコの母親が家に押しかけてきた。サチコを返せと言う。サチコが俺を追っているのに。サチコは出て行きたいんやで、と言い張る。 「今日のところはこれで勘弁したる！　でもな、あんたみたいな勝手なエロガッパのところにいつまでもサチコ置いとかへんで！！」と言ってサチコの母親は帰った。 「お前出て行きたいんか」とサチコに聞くと、「お母さんが勝手に騒いでるだけや。…でもどやろ、何であんたと結婚したんやろ？」と言う。 　日記にはこう書いてあった。 「一刻も早くヒデオさんのところへ嫁に行きたい」 　惚れとる、ということやな。]]></description>
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