僕は日本一、日本一を目指し東京に来ました。
何が日本一なのかは正直わかりませんが、大阪に住んでいた頃から東京にいる現在に至るまで、変わらずそう思っています。
僕が日本一を意識したきっかけは、勝新太郎さんです。
小学校三年生の頃、母親が長期入院していたため、僕はおじいちゃん家に預けられていました。学校が休みの日はおじいちゃんに競艇場か、三本立ての映画館に連れて行かれました。どちらもタバコやお酒臭く、顔が怖く、明らかに働いていない、僕から見てもどうしょうもないオッチャン達が集まっている感じがしました。おじいちゃんは僕に「勉強せえへんかったらああなるで」と言っていました。
特に映画館では、おじいちゃんが僕を中に入れたらいつも「サウナに行く」と言ってどこかに行ってしまい、オッチャン達に囲まれ一人ぽっちで映画を観なければならなくて、怖かったです。僕はおじいちゃんも含め、絶対にこの人達みたいになったら終わりやと思いそこに座っていました。
そういう最悪の状況だったのですが、上映される映画を何本か観ていくうちに、特に一人だけ生命力の塊のような強烈な存在感を放っている人がいました。それが勝新太郎さんでした。
大人になってタイトルを知ったのですが、『御用牙』(1972年)という映画を観た時です。いつも眉間に皺を寄せて怒りながら下半身を鍛え、弱い者には優しく、強い者には噛みつき、下半身で世直しする、そういう勝さんが演じる主人公を見て、なんかようわかりませんが、とんでもないオッチャンやなあ、日本一や、と子供心に思いました。
そのオッチャンがでてる「座頭市シリーズ」も僕は大好きです。目を瞑って刀を持っても誰よりも強いし、女の人にも強いし、モテるし、とにかくかっこよく、僕のおじいちゃんや周りのオッチャン達とは明らかに違い、しかもそのどうしょうもないオッチャン達にも一目置かれる存在で、こうならなアカン、男はこうじゃないとアカン、と思いました。
勝新太郎さんが監督・主演した最後の『座頭市』(1989年)もおじいちゃんに連れていってもらいました。今までの勝新太郎さんの総決算ともいうべき映画で、話はめちゃくちゃな所もありますが、そんな事はどうでもよくなるような圧倒的なパワーがあります。日本一です。僕の一番好きな映画です。
そして12年後、「座頭市」がまた映画になると聞き、どうしても出演したく上京しました。多くの方々の助けもあり、数秒間、半身ではありますが、北野武監督の『座頭市』(2003年)に出演する事ができました。
僕は今年で31歳になりました。ニイちゃんでもなくオッチャンでもない微妙な年齢になりました。まだまだ程遠い道のりなのですが、少しでも日本一へ近づくため日々精進していきます。ヘタクソな文章ですが一生懸命書かせて頂きますので宜しくおねがいします。