街角!ハンサムさん!!梅 佳代

街角の奇跡を瞬時に捕らえる写真家・梅佳代が街の風景に溶け込みきれないハンサムさんをカメラで捕獲

第4回のハンサムさんは、リトルモア編集部・田中の高校時代の同級生のてっちゃんこと手嶋広記(てじま・ひろき)さん。市役所にお勤めの公務員であるてっちゃんは、「つばさくん」を彷彿とさせる爽やか笑顔の持ち主。梅さんも思わずテンションが上がり……。

第4回:みんなのてっちゃん

ハンサムさん


  • 名前:手嶋広記
  • 年齢:29歳
  • 身長:182cm
  • 出身:千葉
  • 職業:公務員
  • 好きな有名人:菅野美穂
  • 好きな動物:犬
  • 好きな漫画:ドラゴンボール
  • 一番目に好きな色:紺色、ネイビー
  • 二番目に好きな色:グレー色
  • バレンタインデーのチョコの最高数:2個
  • 現在彼女はいるか:いる

Q&A

千葉の稲毛海岸駅〜稲毛海浜公園〜稲毛海岸〜スタジオ
(以下、て=てっちゃん梅=梅佳代さん、田=編集・田中、T=編集T)
ハンサムが失ったもの
  • ―ハンサムさんが待ち合わせの場所に登場
  • 田:てっちゃんが来ました!
  • 梅:いや〜爽やかやね!(ひそひそ声で)
  • T:第1回目のつばさくん風で、まさに梅さんのどストライクですね!(ひそひそ声で)
  • 梅:分かるやろ?(笑顔を押し殺した表情で)
  • て:初めまして! 僕なんかでいいのかなって思ったんですけど、さっちゃん(編集・田中)のお願いだし、梅さんに会いたかったので。
  • 梅・T:さっちゃん……。
  • 田:てっちゃんは梅さんのファンなんですよ。
  • 梅:そうなんや。でも、ずいぶん謙虚やね、ハンサムの自覚ないの?
  • て:全然。今回は失ったものを取り戻したいな、と思ったところもあったんです。
  • T:失ったもの?
  • て:なんと言うか、キラキラしたもの。第3回のジュノンボーイ、キラキラしてました……。
  • 梅:え〜てっちゃんも充分キラキラしとるよ。
  • T:ハンサムでもそんなこと思うんですね。
ハンサムの大逆転人生
  • ―稲毛海浜公園に向かうバスの中、梅さんがてっちゃんのに向かい合わせに座り撮影
  • て:梅さんって、肌がきれいですよね。
  • 梅:ヤダヤダ!(両手で頬をおさえ、本気で照れる)
  • T:ひと昔前の少女漫画のようなリアクションですね。
  • 梅:汗が出るわ……。
  • て:面白い……(笑)。あとでサインしてください!
  • 梅:てっちゃんに、かっちゃんが?
  • て:え?
  • T:まさか、かっちゃんって梅さんのことですか?
  • 梅:そう。
  • て:(苦笑)
  • 梅:てっちゃん、学校で一番かっこよかったでしょ?
  • 田:うん。てっちゃんのかっこよさは全学一致だった。「みんなのてっちゃん」って感じ。でも、1年生の時になぜか留年してたよね?
  • 梅:え!? 不良やったん?
  • て:不良というよりも……だらしがなかったんです。学校休んでたし。
  • 田:てっちゃん、いつの間にか年下になってた(笑)。
  • 梅・T:いつの間にか年下(笑)。
  • て:昼休みになると気まずいから、元・同級生たちのところに行ってました。陰口とか言われてたと思うよ。
  • 田:そんなことないよ! だって、てっちゃん卒業式の時、第2ボタン奪い合いになってたらしいじゃん。
  • て:第2ボタンというか、ボタン全部と、あと学ラン、そしてジャージも……。
  • T:身ぐるみ剥がされてるじゃないですか!
  • 梅:その時どういう気分やった?
  • て:う〜ん、女子にとっての一種のイベントだから、あまりこちらも真剣には捉えていないというか……。
  • 梅:モテ慣れとるわ。ハンサム慣れしとるわ。
  • T:ですね。
  • 田:でもてっちゃん、大学は早稲田に行ったって聞いたけど……。
  • 梅:ええ〜!? 学部は?
  • て:商学部です。たまたまその時、いい風が吹いてたんですよ。
  • T:それから公務員に……。公務員試験も大変だったのでは?
  • て:法律、経済、一般常識とか30科目ぐらいあって大変でしたけど、その時もたまたまいい風が吹いたんでしょうね。
  • 田:その年の新入職員代表の宣誓もしたんだよね?
  • て:市長の前だったから緊張した。
  • 梅:ええ〜!? そんな人がなんで留年したの?
  • て:当時バンドやってたから、ライブハウスにいるアウトローたちに憧れて「俺、テストなんて受けねぇ」って(笑)。
  • 梅:そうなんや〜。でも、やっぱり顔はエリート系ハンサムやね。
ハンサムの意外な過去
  • ―公園近くの海岸で撮影を終え、駅に向かうバスの中で
  • 田:てっちゃんはお洒落さんで、中学生の頃にストリートファッション誌のスナップに載ったこともあるんですよ。
  • て:消したい過去です(笑)。中3から高1、2まで、原宿、渋谷でよく買い物してたんですけど、ある時、自分のファッションがイタいことに気づいて……。
  • 梅:自分の恥ずかしさに気づく時って、あるよね。
  • T:バンドをやり始めてからそう感じるようになったのでは?
  • て:そうかもしれません。この服にニルヴァーナは似合わないなって。実は今もバンドをやってるんです。
  • 梅:え〜! パートは?
  • て:ボーカルとギター。
  • T:そりゃモテますね〜。
  • 梅:だって、バンドマンって聞いただけでなんか出てくるもん。
  • T:女性ホルモン的な。
  • 梅:そうそう。
  • て:はは(笑)。
  • 田:これから駅前にある、てっちゃんの馴染みのスタジオに行ってみませんか?
  • て:そこの店長が、今僕がやってるバンドのギターとエンジニアを担当してくれてるんですよ。
  • 梅:へ〜、バンド名は?
  • て:SMILE(スマイル)です。これ、よかったら。最近つくったアルバムです。

【これがそのアルバム『CARNIVAL』です!】

  • 梅:うわ〜! ジャケットの絵、てっちゃん描いたの?
  • て:はい。
  • T:動物の絵がすごく写実的! いつから絵を?
  • て:小学校の頃から。その時はドラゴンボールの絵とかですけど。
  • 梅:ドラゴンボール好きなの?
  • て:好き過ぎて、「少年ジャンプ」公認のファン認定試験みたいなものも受けたことありますよ。
  • T:どんな問題が出るんですか?
  • て:「セルゲームの開催地は?」とか。
  • 梅・田・T:分からない……。
  • T:ハンサムの意外な一面を見ましたね。
弱い女と尻ガール
  • ―スタジオの中、皆でビールを飲みながら
  • て:(ビールの栓を開けて)これで梅さんに追いつける……。
  • 梅:え、あたしがテンション高いから?
  • T:じゃ、お酒が入ったところで恋愛話でも。高校時代に彼女はいましたか?
  • て: 6年間付き合った子がいました。
  • 梅:誠実な方ね。
  • T:バレンタインデーのチョコは何個もらいましたか?
  • て:彼女以外にチョコもらったことないんです。
  • 梅:ええ〜うそ〜!
  • て:あ、1個だけ。高校生の時、下校途中で知らないコから。よく考えたら、同じ電車に乗ってたんですよね。
  • 梅:い〜な〜、青春やね。
  • T:ちなみに……今、彼女はいらっしゃいますか?
  • 梅:もう、T元! 聞きたくないのに〜!
  • て:T元?
  • 梅:芸能レポーターの梨元さん並に質問するから。
  • て:ああ(笑)。
  • T:すみません。で、いらっしゃいますか?
  • て:い……ます。
  • 梅:ほら〜! もうヤダ〜。
  • T:出会いは?
  • て:職場です。
  • 梅:え〜その彼女が羨ましいよ〜マジで〜。
  • T:興奮のあまりギャルっぽくなってる(笑)。ちなみにどんなタイプの方ですか?
  • て:女の子っぽい。というか、弱い。
  • 梅・田・T:弱い!?
  • T:なかなか自分の彼女の特徴を「弱い」って言わないですよね。
  • て:なんというか、守ってあげたくなる、みたいな。初めてのデートが花火大会だったんですけど、その時、貧血で倒れちゃって。あ、精神的にというよりも、身体的に弱い人に惹かれるのかも。
  • 梅:だったら私もいけるんじゃない? よく貧血になるし。浴衣も自分で着れるし。似合うし。
  • て:でも実は、梅さんも彼氏いるんじゃないですか?
  • 梅:!
  • T:これは初の切り返しですね〜。
  • 梅:衝撃やね。でも、こればっかりは何て答えたらいいのか……私にも分からない。
  • て:え? どういうことですか?
  • 梅:私、18歳の頃から12年間、好きな人同じやから。
  • て・田・T:へ〜。
  • 梅:でもって、てっちゃんの方が好きやから。
  • て・田・T:ええっ!?
  • T:一途なのか気が多いのか、分からないですね(笑)。
  • 梅:あ、あたし尻ガールじゃないから。あ、これ、尻軽な女って意味ね。命名、川島小鳥さん
不思議ちゃんとハンサムのオチ
  • て:よし、追いつくぞ〜。(2本目のビールを開ける)
  • 梅:追いついても追いついても引き離せるよ。
  • T:か、かっこいい(笑)。
  • 梅:3本目でかわいいと思えるようになるから。
  • て:いや、すごくキレイですよ。
  • 梅:ヤダ〜!(照れながらも撮る梅さん)
  • T:で、6年間付き合った方のあとに付き合った方は?
  • 梅:ちょ、あんた聞くね〜。
  • て:面白いコです。あんまり面白い話ばかりするもんで、変な夢を見たことがあって。そのコが、つくった料理をテーブルに持ってきた時に、「はい、スタローンのソテーよ」って言ったんです。見たら、映画『ランボー』の格好をしたスタローンがボコボコにされて、その上にソースがかかってた(笑)。そういうイメージのコです。
  • T:それは……変わってますね。
  • て:そのコが梅さんの写真集を僕にくれたんですよ。
  • 梅:そうなんや! いいコやね。そうなのよ、私のファンだって言ってくれる男の人って、たいてい彼女から写真集をもらってるの。
  • ―店長さんが登場(以下、店=店長)
  • て:店長、梅佳代さんですよ。
  • 梅:初めまして、梅佳代です。
  • 店:あ、どうも。どうぞゆっくりしていってください。(笑顔ながらも動揺)
  • 田:あ、何か、てっちゃんのハンサム・エピソードありませんか?
  • 梅:出待ちがすごい、とか。
  • 店:う〜ん、特にないな。失恋した時に慰めてくれたり……。
  • 梅:あとは?
  • 店:う〜ん、話にオチがないことくらいですかね。
  • 梅・田・T:!
  • 梅:……でも、ハンサムにオチなんて必要ないよね。
  • T:ハンサムなだけで素晴らしいですからね。
  • 田:それだけで充分だよね。
  • 梅・田・T:ハンサム万歳!
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おまけの写真
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編集後記

6月の梅雨の晴れ間となったこの日、気温は30度近くまで達し、まさに猛暑。1年前、つばさくんを撮影した時と同じような状況に何かが起こる予感を感じていたら、起こりました。あのつばさくんの爽やかな笑顔を湛えたてっちゃんがリトルモアの女性編集者・田中くん(梅さんがいつもそう呼ぶ)に連れられ登場したのです。

しかし会って早々、「失ったキラキラしたものを取り戻したい」と言うてっちゃん。今でも充分キラキラしているのに、さすがハンサムは謙虚。でも、その場にいた女全員がアラサーでしたから、「若かりし頃の何かを失った感」については、それぞれの胸に刺さるものがありました。そんなてっちゃんの思いに応えるべく、我々は一路、キラキラとした水面の光る海へ。

海岸のある稲毛海浜公園行きのバスに乗車すると、平日だったこともあり、バスの中は私たちだけ。すると、梅さんがおもむろにてっちゃんの前の席に後ろ向きで座り、至近距離から撮影。緊張しているのか、この時のてっちゃんの表情はまだどこかぎこちありません。

そして稲毛海岸へ。体感温度は30度を超えている。にもかかわず、こちらの(特に私の)勝手な要望により、この日、てっちゃんにはスーツを着てもらっていました。「公務員=スーツ」という単純な発想もありましたが、「スーツ姿で浜辺で戯れるハンサムが見たい」という個人的な願望がメイン、というか全てでした(すみません、てっちゃん)。個人的なフェティシズムを完遂すべく、ワイシャツの着崩し方も徹底的に指示。「ワイシャツの裾は出しても、その下のTシャツの裾はしまってください」「左足の裾を右よりも多めに捲くってください」「もっとです」「いえ、もっとです」「すみません、私が捲くってもいいですか?」と次第にエスカレート。

てっちゃんは軽く引き、田中くんは唖然としていましたが、そんな私の狂気に梅さんは何かを感じたのか、「その変態っぷりを活かそうよ」と撮影のディレクションを私に任せる勇気ある決断を下しました。テンションが高くなっていたのか、私も「もちろんです」と即答し、てっちゃんと梅さんと共に波打ち際へ。まずはてっちゃんに海水に足首が浸かるところまで入ってもらい、「はい、こちらに向かってに水をかけて!」「もっと大胆に!」と叫び、近くにあった長い木の枝を拾い、「次はこれで相合い傘を描いて!」「名前はてっちゃんとかっちゃん!」「満足そうにこちらを見て!」と指示。挙げ句の果てには、「海に向かって好きだ〜って叫んで!」と無茶ぶり(全部無茶ぶりですが)……。

【無茶ぶりする変態ヤマンバ。撮影:梅佳代】

しかし怪我の功名か、変態に追い込まれたてっちゃんは緊張が薄れ、表情が自然になっていました。梅さんも撮影に熱が入り、てっちゃんをさまざまな角度から撮影。この日一番の表情が捉えられました(ページ上の1番目の写真)。

【変態撮影から逃れ、安堵するてっちゃんとテンションの高い梅さん】

浜辺での撮影が終了後、稲毛海岸で遊ぶ少年3人組に遭遇。聞けば、彼らは自転車で2時間かけて隣の市から遊びに来たのだそう。その無鉄砲ぶりに「小学生?」と聞いた梅さんに「ううん、中学生」と即答する少年たち。意外な返答にうろたえつつも、梅さんはしばし少年たちとの時間を楽しんでいました。おまけの写真に掲載されているのはその少年たちの一人、未来のハンサムさんです。

【自然と少年たちに溶け込む梅さん】

公園の出口に向かう途中、「花とハンサムは相性がいいから」と言う梅さんに率いられ、「ローズガーデン」付近の花壇に立ち寄りました。すると、そこには大きな花時計が。この日の記念にと、花時計の前でパチリ。

【新婚カップルのよう。撮影:編集・田中】

その後、てっちゃんの馴染みのスタジオに向かうため、再びバスに乗車。今度は、吊り革につかまるてっちゃんを、椅子に座った位置から撮影。立っている男子に座っている女子が向ける視線、つまり「彼女目線」での撮影です。ぜひぜひ、妄想を膨らませてください(ページ上、6番目の写真)。

【「彼女目線」の撮影風景】

スタジオに到着し、冷たいビールを飲みながらしばらく談笑していると、噂の店長さんが登場。てっちゃんのハンサム・エピソードについて聞いてみましたが、なかなかいい話が出てこない。「他には?」と追い打ちをかけられ店長も焦ったのか、最後の最後に出たのが「オチがない」という話。男同士の照れ臭ささもあったのだと思いますが、まさかの答えに一同が困惑していると、梅さんがこの日の金言を残してくれました――「ハンサムにオチなんて必要ないよね」。

そうです。話にオチがなかろうが、鼻くそがついていようが、息が臭かろうが(それはちょっと困る)、ハンサムはハンサムであることで充分なのです。てっちゃんのキラキラした笑顔を前に、そのことを改めて確信した女3人なのでした。

【取材終了後、ハンサムに握手してもらいご機嫌な梅さん】

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プロフィール



梅 佳代

1981年石川県旧柳田村生まれ。日本写真映像専門学校卒業。キャノン写真新世紀で「男子」(2000年)「女子中学生」(2001年)がそれぞれ佳作を受賞。2007年、写真集 『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。『UMEP』『じいちゃんさま』『男子』(いずれもリトルモア刊)他。最新写真集『UMEP』が絶賛発売中!

編集T

本企画における梅さんのお付き役。梅さんと同い年だが、壮年男性並みの低音ボイスとそれ以上に低いテンションの持ち主。しかし、ハンサムへの質問に対しては伝説の 芸能レポーター、故・梨元勝氏並みのがっつきを見せる。