街角!ハンサムさん!!梅 佳代

街角の奇跡を瞬時に捕らえる写真家・梅佳代が街の風景に溶け込みきれないハンサムさんをカメラで捕獲

春一番も吹き、心も浮き立つ春もすぐそこ。今回登場するハンサムさんは、梅佳代さんの地元・浅草のドーナツショップで働く新川(しんかわ)さん。ドーナツショップのかっこいい店員さんにドーナツを作ってもらおう! という女子たちのワガママ企画が実現しました。

第7回:ドーナツ界の仲村トオル、新川さん(浅草)

ハンサムさん

  • 名前:新川
  • 年齢:28歳
  • 身長:177cm
  • 出身:東京(浅草)
  • 職業:フリーター
  • 好きな有名人:柏木由紀、松井怜奈
  • 好きなお笑い芸人:バナナマン
  • ペット:なし
  • 好きな漫画:ちはやふる
  • 好きな色:全部好き
  • バレンタインデーのチョコの最高数:3個
  • 現在彼女はいるか:いない

Q&A

梅佳代さんの仕事場のキッチンにて
(以下、新=新川くん梅=梅佳代さん、編=編集担当)
梅佳代さんの念願がついに……!
  • 編:今日登場する新川さんは、梅さん自らが地元・浅草の某ドーナツショップで見つけたハンサムさんなんですよね。
  • 梅:そう。インタビューで「いま誰か撮りたい人いますか?」って聞かれたときも「近所のドーナツ屋のお兄さんが撮りたいです」って最近ずっと答えてたもん。なのに、あたし今日寝れんかってん。起きたら眼の下にシワが……。こんなのいつもはないのに、よりによって今日……(カーテン閉める)。
  • 編:梅さん、何してるんですか?
  • 梅:照明暗くしとかないとこのシワが目立つやろ。薄暗いほうがいいっていう作戦。
  • 編:梅さんももう三十路ですもんね……。気を取り直して、今日はそのハンサムさんと一緒に梅さんの家でドーナツを作ろうという夢の企画が実現しますよ!
  • 梅:そうそう! あ、作ったドーナツまずかったら、新川さんのお店行こうね。
  • 編:あっ新川さんが来たみたいですよ!
  • <エプロン姿の新川さんが登場>
  • 編:今日はよろしくお願いします。
  • 新:よろしくお願いします。
  • 編:普段はドーナツショップで働いてらっしゃる新川さんですが、実はお店に来る梅さんのことをかなり前から認識してたんですよね。
  • 新:はい。
  • 編:梅さんの視線には気がついてました?
  • 梅:ちょっと待って! あたしのことは聞かんといて!
  • 新:気づかなかったです。
  • 梅:まったく? すごくない? 「いまの見方はやばかったかな~」って思いつつ、あんなにチラ見してたのに。一緒にいた友達の見方まで指導してたんやよ。いつも近所の女友達とドーナツ食べに行くんやけど、時々男の子の知り合いと一緒に行くときに限って、新川さんがお店におるっていう。
  • 編:「梅さん、また男連れで……」って。
  • 梅:って思われたら大変やろ?
  • 新:いやいや、そんなこと思ってないです。僕は梅佳代さんだって知ってたんで、あんまジロジロ見ちゃいけないなと思ってました。
  • 梅:レジでもいつもモジモジしてん。「新川さんにレジやってもらうと緊張しすぎるからもう一人のメガネの人でいいや」って思ってるのに、新川さんが来てしまって。「ハッ!!」って。分かるやろ、その気持ち?
  • 編:分かりますよ。イケメンを前にすると動揺してしまいますよね。
  • 梅:「あっちのメガネが来るはずやったのに!」って。
  • 編:「あっちのメガネ」呼ばわり(笑)。
  • 梅:これお店の人が読んだらどう思うんやろね。でもどんどんメガネの店員さんが増えるんやもん。あれはお店のルール?
  • 新:いや、たまたまですよ(笑)。
ハンサムがこねたドーナツ
  • 編:そろそろドーナツ作りに取り掛かりましょうか。
  • 梅:ねえねえ、みんな手洗った? ちょっとー、全員でドーナツに爪の垢を入れようとしてない? 手洗ってきて!
  •  

  • 新・編:はーい。
  • 梅:でもドーナツ屋のお兄さんが、何でいまあたしんちにいるんやろう、すごいんだけど!
  • 編:「家に来てドーナツ作ってください」って、いきなりお願いしたら変態ですよね。
  • 梅:ほんとやよ。あの店員さんがあたしんちでドーナツを作ってくれるという、この状況はほんとにすごい。写真やってなかったら絶対ないよね。
  • 編:新川さんは、普段お店ではドーナツを作ってるんですか?
  • 新:そうですね、粉とか量ったりしてますよ。
  • 梅:あたしの中では“あのかっこいい店員さんが手でこねたドーナツ”を食べとることになってたんやけど。
  • 編:実際は誰がこねてるんですかね? メガネですか?
  • 梅:ちょっと、あんたまでメガネ呼ばわり。それにメガネって言ってもあの店全員メガネやから。
  • 新:俺も作ってるんですけど、生地は機械がこねてます。
  • 梅:そうなんや……(がっかり)。
  • 編:がっかりしないで梅さん! あ、砂糖買うの忘れてた! 梅さんち砂糖はありますか?
  • 梅:砂糖くらいあるやろ。この2つのつぼのどっちかが砂糖でどっちかが塩。舐めてみて。
  • 編:じゃあハンサムさんにやってもらいましょう。
  • <新川さん、手のひらに砂糖らしき物体をのせて舐めてみる>
  • 文中1

  • 新:あ、これ砂糖です。
  • 梅:か、かっこいい〜~!!
ドーナツ界の仲村トオル
  • 梅:あたし新川さんのこと“ドーナツ界の仲村トオル”って呼んでたの。言われたことある?
  • 新:あります。
  • 梅:やっぱり!
  • 編:お客さんから声かけられたこともありますか?
  • 梅:「もしかして仲村トオルですか?」って?
  • 新:(笑)。それはないですね。あ、でも前に韓国の方に友達になってくださいって言われたことがあります。
  • 梅:韓国の人はやっぱ勢いがあるね。私は見続けるだけやね。しかもコソ見。お店の前通るときも、顔は完全に前向いてるんだけど、片目で新川さんいるかチェックしてる。でもそういうのって楽しいやろ。あたし高校3年生のとき、ガソリンスタンドで働いてる人を見続けるっていうのがあったんやけど、それ以来だから。
  • 編:12年ぶりですか。それはすごいですね。
  • 新:生地、まとまってきましたね。
  • 編:新川さん、手でこねてください!
  • 梅:え! ついに! これ絶対シャッターチャンスやね。ほんと夢やわー。
  • 文中2

ハンサムさんの意外な趣味
  • 編:新川さん、芸能人では誰が好きですか?
  • 新:芸能人はみんな好きですね。
  • 梅:あたしと一緒じゃん! いい答えやね。そんな人なかなかおらんよ。
  • 新:だって芸能人ってみんなかわいくないですか?
  • 梅:そうそうそう。分かっとるね。
  • 編:あれ、でも新川さんの携帯の裏に何か貼ってありますが……それはもしや柏木由紀のステッカーですか?
  • 新:はい。
  • 梅:えー!!! 意外!!! AKB好きなの? 握手会も行った?
  • 新:俺は一回しか行ったことないんですけど。
  • 梅:行ってるんや!!!
  • 編:今まで登場したハンサムさんたちは、AKBにあまり興味なさそうでしたよね。劇場にも行ったことあるんでしょうか?
  • 新:はい。
  • 編:ちなみに、好きな男性芸能人はいますか?
  • 新:三上博史ですかね。
  • 梅:え!? またもや意外すぎるんやけど。なんで?
  • 新:俺、ちょっとエラ張ってるじゃないですか。
  • 梅:そこがかっこいいポイントでもあるけどね。うんうん、それで?
  • 新:三上博史もエラ張ってるじゃないですか。「こんなかっこいい人でもエラ張ってるんだ」って、それでコンプレックスがなくなりました。
  • 梅:すごい理由。でもぜんぜん今のままでいいよね!!!
  • 編:ものすごい力強い一言でしたね(笑)。
  • 梅:ドーナツショップのバイト歴は?
  • 新:高校からやってるんで、もう10年です。
  • 梅:あのお店にずっと? それすごすぎん? 一番ベテランなんじゃない?
  • 新:そんなことないですよ。何年か厚木に住んでたこともあったんで。
  • 梅:じゃあそのときはどこのドーナツ屋に?
  • 新:そのときはドーナツ屋やってないです。でも、またあの店に戻ってきました。
  • <新川さんがドーナツをつぎつぎ鍋へ投入>
  • 梅:すごーい! ハンサムのドーナツだよ! 仲村トオルのドーナツ!
  • 編:梅さん、新川さんがドーナツ揚げてるところ撮った?
  • 梅:あ! 撮ったっけ? 興奮しすぎて忘れとった。だめじゃん、ただドーナツパーティーしてるだけになるとこやった。
  • <カメラで新川さんを撮影する梅さん>
  • 梅:うんうん、いいー! 最高じゃないですかー!
  • 新:ドーナツ、もう鍋から引き上げても良さそうですね。
  • 梅:こうやってドーナツまで一緒に作ってしまった日には、これからどんな顔してお店に行けばいいんやろ。「あっ、どうも~」みたいな感じで行けばいいの? でも店長も今日の撮影のこと知っとるじゃん。「ほら、君のファンのカメラマンの人が来てるよー」とか新川さんも言われるんじゃない?
  • 編:お店の2階でドーナツ作ってても「新川くーん、梅さんがきたよー」ってわざわざ呼ばれちゃう感じですかね(笑)。
生粋の江戸っ子ハンサム
  • <揚げたてのドーナツをみんなで頬張りながら>
  • 編:新川さん、ご出身は?
  • 新:生まれも育ちも浅草です。
  • 梅:三社祭のときはフンドシで神輿?
  • 新:いや、お祭りのときはバイトしてますね。
  • 梅:え、フンドシよりもドーナツを優先?
  • 新:観光客でお店が混むんですよ。
  • 梅:そうなんや。フンドシ姿見たいのに残念やね。
  • 編:……。
  • 梅:ちょっと、なんであんたのってこないの?
  • 編:あっ、すみません……想像してしまいました。兄弟はいますか?
  • 新:妹が一人います。カヨコっていいます。
  • 梅:同じカヨちゃんや! カヨって名前の子は、明るくていい子が多いんやよ。これ本当。妹、明るくていい子やろ?
  • 新:たしかに明るいです。
  • 梅:そしていい子やから、カヨちゃんは。
  • 編:話は戻りますが、さきほど話題に出た韓国の方とはその後何か進展は……。
  • 梅:出た! またそうやって掘り返す!
  • 新:もともとメールとか苦手っていうか、めんどくさがりなもんで。
  • 梅:かっこいい人にありがちなね。
  • 新:そしたら「何でメールくれないの?」みたいになって、そういうのやだって言って終わりでした。
  • 編:でも連絡先は教えたんですね?
  • 新:そうですね、そういうこと、初めてだったもんで。
  • 梅:「初めてだったもんで」。そうだよね。
  • 新:まだ若かったもんで。
  • 梅:「まだ若かったもんで」。そうですし。何歳くらいのときですし?
  • 編:それなんなんですか(笑)。
  • 新:二十歳くらいのときでしたね。
  • 編:相手は、何歳くらいの子だったんですか?
  • 新:たぶん同じ年くらいかと。そんなにかわいくなかったですよ。
  • 編:なるほど。ところで、最近恋のほうは……。
  • 梅:ちょっと!!! その質問まだ早くない? 14時になってからじゃない(このとき時刻13:30)?
  • 編:いや14時までなんて待ってられませんよ。
  • 梅:せめてあと10分待たない? この質問すると、毎回毎回悲しくなるんだから〜~。
  • 編:ほんとに悲しそうだ(笑)。
  • 梅:だって、普通に嫌やん〜〜。せっかく楽しくドーナツ食べてるんやから、10分後にしようよ。
  • 編:じゃあ10分後にしますか。その間に初恋のことでも聞きましょうか。初恋は……
浅草名物・新川さん
  • 梅:はー、けどまさかあたしの家にドーナツ屋のお兄さんが来るとは……もしかして新川さん、合成?
  • 新:大丈夫です、本物です。
  • 梅:浅草に友達がきたら、まず新川さんを見に行くからね。
  • 編:もはや浅草名物なんですね。あ、梅さん、そろそろ10分経ちましたよ。あの質問、いきますか。
  • 梅:いやだいやだ!
  • 編:これまでも乗り越えてきたじゃないですか! 今回だっていけますよ!
  • 梅:もう〜〜〜あんたが聞きたいだけじゃん〜〜〜。毎回あたしがこの質問によって、どんなに悲しい思いをしてたか分かっとる? 「いままのこの気持ちを返して!」って思うじゃん。
  • 編:でも恋人がいらっしゃるのに、無駄にこちらの気分が昂ってしまうのもさみしいじゃないですか。ここはちゃんと聞いておきましょう。
  • 梅:……そうやね。
  • 編:ではお聞きします。いま現在、おつきあいされている方はいますか?
  • 新:いないです。
  • 梅:え!
  • 編:いないって梅さん!
  • 梅:すばらしいーーー! こんなことってある? 
  • 編:梅さん良かったですね。ちなみに梅さんみたいなタイプは新川さんいかがですか?
  • 梅:やめて! 妄想が終わってしまう!
  • 編:梅さんは、写真界の松たか子ですよ。いかがでしょう。
  • 梅:違う、写真界の掘北真希だから。って、もう今日はいったい何の会なん。でも楽しかった。ほらほら、みんなで新川さんお見送りに行くよ、浅草寺まで!
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umemo

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おまけの写真
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編集後記

実はこの連載のスタート時から、梅さんが密かに撮りたいと願っていたハンサムさんこそ、新川さんだったのです。
ドーナツ界の仲村トオルがいる、という梅さんから報を受け、打ち合わせと称して、編集Tもこれまでに数回お店を訪ねたのですが、タイミングが悪くなかなか新川さんの姿を確認することができずにいました。しかし昨年末、ようやくお店で働く新川さんと(一方的に)対面を果たし、お店の同僚の方のご協力を得て、取材を申し込むことができたのでした。

【新川さんお手製のドーナツが完成!】

「わたしたちと一緒にドーナツを作ってください!!!」という、アラサー女子たちの何だか妙に切迫したお願いにも不審な顔一つせず爽やかに応えてくれた新川さん。慣れた手つきでドーナツを揚げるその姿に、一同ウットリ。さすがドーナツ界の仲村トオル! 揚げたてドーナツの甘い匂いに包まれ、日頃の荒んだ生活もしばし忘れる、幸せな土曜日の昼下がりでした。

【夢のようなひととき♥】

取材終了後、みんなで浅草寺まで新川さんをお見送りに。その道中も梅さんのインタビューは続きます。将来の夢は? という質問に「結婚ですかね」と回答する新川さんに、すかさず力強くうなづく女たち。スカイツリーをバックに微笑むハンサムさんを見ながら「大丈夫、あなたにはいいお嫁さんが見つかるよ……」と目を細める一同でした。

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プロフィール



梅 佳代

1981年石川県旧柳田村生まれ。日本写真映像専門学校卒業。キャノン写真新世紀で「男子」(2000年)「女子中学生」(2001年)がそれぞれ佳作を受賞。2007年、写真集 『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。『UMEP』『じいちゃんさま』『男子』(いずれもリトルモア刊)他。最新写真集『UMEP』が絶賛発売中!

編集T

本企画における梅さんのお付き役。梅さんと同い年だが、壮年男性並みの低音ボイスとそれ以上に低いテンションの持ち主。しかし、ハンサムへの質問に対しては伝説の 芸能レポーター、故・梨元勝氏並みのがっつきを見せる。