「真夜中」創刊の日に、読者のみなさまへ
 
 
言葉は真夜中の星、
写真は光、絵はともしび、
デザインは夢。

 
 
そのガラスのドアを粉々に蹴とばしたいほどの怒りや、
何もかもが馬鹿らしくてもう誰にも会いたくない孤独や、
結局お金に体のすみずみまで操られているような束縛、
今日の嫉妬や、徒労や、臆病や、あきらめや、傲慢や、死が、
瞬時にひるがえって、表情をかえ、やさしくわたしにほほえみかける。
 
身を賭して言葉を書き、写真を撮り、絵を描き、デザインする人たちは、
そのほほえみをくれる。
 
「真夜中」のテーマは、文芸、アート、デザインと、ジャンルにとらわれず、
人間の想像力、表現のすばらしさと自由、現実に抗う力、
そして自分と自分をとりまく世界を変えようとする意志です。
 
ひとりひとりの心のうちは、いつもそのひとだけの秘密なのに、
一冊の本の中には、無数の結びつきがある。
あの部屋で本を読んでいたわたしは、今夜のあなた。
わたしの本のページを、遠くの誰かがいま、めくった。
この言葉のどこかに、あなたの言葉があり、
ページのどこかに、あなたが見るはずだった未知の風景が広がり、
ページのどこかが、あなたの感情と思考の痕跡でいろどられていく、
無数のあなたが織りなす、けれどたった一冊の本――。
これからそういう雑誌を作ります。
 
真夜中のページを、ひとりひとりの手のひらと指先で、灯してください。
 
 
2008年4月22日
「真夜中」より