「itoya post AUTUMN 2012」

 水丸さんとは仕事させてもらったことが二回あって、ひとつはあるデザイン雑誌が主催するイラストコンテストの審査員で一緒させてもらったこと。フライターグのブルーのF48 HAZZARDのリュックを高い位置に背負って、フラッと来て、フラッと帰っていく。そのスマートさにホレボレしました。

 もう一回は、僕が編集で関わっていた伊東屋が発行するフリーペーパー「itoya post」の表紙を描いてもらったこと。
「かく、みらい」というその号の特集が決まって、その人にしか描けないものがある人に表紙は描いてもらおうって考えた時、飄々としていて、スカスカで、都会的で、クリアな色合いのあの絵が、僕と編集長の上條さんと、デザイナーの山野さんとの三人にほぼ同時に浮かんで、それでお願いしたのでした。
 水丸さんの絵や文章についての考えというか精神は、その号のインタビューをぜひ読んでほしいのだけど、大変だったのは表紙絵の一部を紛失してしまったこと。マトリョーシカの水兵さんの制服の金ボタン。原画を預かった時には確かにあった、貼り付けてあった金の紙が、デザイナーのところに持っていったらなくなっていました!
「どうしようどうしよう」、と言っても仕方がないので、覚悟を決めて謝りに行くことにしました。
 しかし、水丸さん本人はおらず、事情をことづけてもらったところ、「そんなの印刷屋でやってもらってもいいのに」と軽いお返事と共に、新たな金ボタンをつけてもらったのでした。

ご冥福をお祈りします。