『青インクの東京地図』安西水丸 著

 千葉に住んで、バンドなんてやってもないのに雑誌「バンドやろうぜ」を立ち読みして、兄のDCブランドの服をこっそり着てぶっ飛ばされていた高校生の僕にとっては、東京とはたまに渋谷や代官山に張り切って行くとしても、リアルなものではなく、むしろリアルなのは角松敏生の歌で、村上春樹のエッセイで、安西水丸の挿絵でした。

『青インクの東京地図』は、ちょうどその頃、1987年に発行された挿絵なしのエッセイ集。赤坂で生まれ東京で育った、中学生~大学卒業までの頃の思い出の町を、当時40代半ばになった本人が歩いて追体験するという構成になっています。

 訪れる場所は駅名ではなく町の名前で示され、決まってその場所にまつわる誰か(たいていはちょっと陰のある色っぽい女性)のことを思い出すという散歩のスタイルは、今読んでも僕が想像した「東京」っぽいなあと思います。

 そういえば、雑誌「POPEYE」の先月号の特集「シティーボーイのABC 2014」のQのクエスチョンのところに水丸さんが登場していて、

・なぜ、一日三食食べるんだろうか?
・なぜ、フィギュアスケートはあんなにしゃかりきになってジャンプするんだろうか?
・なぜ、女性の下着などを盗むのか?

 なんて、くだらないけれど言われてみればたしかに気になるQを投げかけていて、元祖シティーボーイのその軽さに感心したのでした。