『I didn’t build a city』 Shumon Basar 著

 先日、日本に来ていたAbakeのベンジャミンから一枚の紙を渡されました。
 これは新しい出版レーベルから出た一冊の本だと言います。
 なになにと聞くと、友人がヘルシンキに文化的なサウナ「Kulttuurisauna(クルットゥーリサウナ)」を作って(詳しくは川上典李子さんによるこの記事をどうぞ)、彼らと作った、サウナで読むための本なのだそうです。
 ポストカードほどの一片の紙に一篇のエッセイ。
 内容は建築批評家、キュレーターのShumon Basarの書いた「I didn’t build a city」。
 I didn’t draw the roadsからはじまり、延々とI didn’t xx が繰り返され、最後に、
 I didn’t build the city.I kept it. For myself. I’ll kept it, until you arrive.
(私は都市を建設しませんでした。私はそれを保った。自分のために。あなたが来るまで、私はそれを保ちます。)
 の一文で終わり。わずか数十行の超ショートショートでありながら、彼の建築への姿勢を表明する力強い文章です。

 サウナって、タオル一枚だけで、スマートフォンも持ち込めないし、強制的に本を読んでもらう場所としては、(今や飛行機内でもWifiが使える世の中では)最後の聖域かもしれません。
 強制的に目や耳に入ってくる壁のテレビよりも、眼力で止まってしまったんじゃないかって疑ってしまう砂時計よりも、本の方がずっといい過ごし方のような気がします。

 世界中の100の本屋に10冊ずつ置いてもらうより、毎日来る10人のお客さんに100日間読んでもらっても同じ冊数だし、その方がずっと伝わると思うんだ。というベンジャミンの言葉に、深く頷いたのでした。