『Momentos e Máculas』Diego Saldiva 著

 先日、ブラジルを旅行していた友人のFacebookの投稿を見てたら、オスカー・ニーマイヤーらをはじめとする都市形成期の斬新な建築とワールドカップに向けてダイナミックに変化する現在の町の風景、さらにエキゾチックな自然にすっかり夢中になってしまいました。

 現在、スイスに住む写真家、Diego Saldivaは、幼少期にサンパウロ市郊外の都市、グアルーリョスで育ちました。屋根もないようなアパート(どんなところ?)に家族で住んでいたそうです。「bad spots in our best times」と彼が振り返るその場所、現在は新しい建物が建ち、周辺は猛烈な勢いで都市化が進んでいます。

この写真集は、自身が育ったグアルーリョスを大人になった彼が訪れ、まるで自身のアイデンティティを探すようにその頃の景色を見つけて撮った写真と、失われてしまった景色、新しく生まれた景色、さらに思い出を綴ったショートエッセイとが、サイズも紙質も異なるページで一冊に編まれた美しい本です。

何車線もある高速道路を走る車のように、人によって全く違う景色が見えるのが現代のブラジルなのでしょう。
その瞬間の景色しか映さないはずの無機質な建築物や風景が、彼の記憶を通してみることで、時間の経過までもが見えてくる。センチメンタルなはずのシチュエーションだけど、写っている景色も色もカラッとして明るい。あまり他にはない写真集でした。