『20世紀エディトリアル・オデッセイ:時代を創った雑誌たち』赤田祐一、ばるぼら 著

●20世紀のまとめ部門
 『20世紀エディトリアル・オデッセイ: 時代を創った雑誌たち』は、タイトルを裏切らないボリュームとセレクトで雑誌の「雑」の多様さを採集した大仕事。雑誌って「時代を切り取る」なんて言われることが多いけれど、サブタイトルにもなっている「時代を創った」っていうのがこの本のポイントで、ちょっと大げさですが「20世紀のまとめ部門」の大賞とさせてもらいます。
 巻頭には「Whole Earth Catalog」(以下WEC)のページがあって、さらに「Whole Earth Catalogとは何だったのか」 という赤田祐一とばるぼら、著者二人の対談があり、今まで知らなかったこともたくさん書いてあってつい読み耽ってしまいました。
 1968年に創刊されたWECは、スティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアックらが出入りしていたホームブリュー・コンピュータ・クラブ、そして雑誌「Make:」と、彼らが主催する「Maker Faire」へと続く、アメリカのDIY的ものづくりの源として、語られることの多い雑誌。日本においても、植草甚一の「ワンダーランド」(雑誌「宝島」の前身)もそうだし、カタログ的なフォーマットを雑誌に持ち込んだという意味では「POPEYE」もそうかもしれないし、みんな影響受けすぎ、ってくらい影響を受けていて、それが「時代を創る」雑誌のパワーなんだなと思わされます。

 他にも、日本初のロンドン・パンクのファンジン「Boredom」の発行者へのインタビュー。自販機本としてスタートした「JAM」がリニューアルして生まれた伝説の雑誌「Heaven」をはじめとする、1980年前半に世界の都市で同時多発的に発行されたニューウェイブ雑誌。堀内誠一がアートディレクターとして関わっていた70年台の「アンアン」の実験的な手法など、昔の雑誌をネタに現代の雑誌を作ったような感覚がとてもフレッシュです。

 そして特筆すべきはビジュアルだけでない文字の多さ。きっと本人すら覚えていないようなことまでも注釈のような小さな文字で記した、まさに20世紀のまとめ本にふさわしい一冊でした。