『CLOUDBUSTER PROJECT MAROC』Christoph Keller 著

 「気持ちいい風を感じる本」と聞いて、すぐに思い浮かぶのは『涼しい風』という本で、ページをめくると全ページへなへなな絵で扇風機が描かれているだけ。パラパラめくると扇風機のファンが回ると同時に、小さな風が起こる。それだけの最高の本ですが、以前紹介した気もするので、『涼しい風』の作者、ヤン・ホスさんの営むアムステルダムのブックショップ「Boekie Woekie」で見つけた、ちょっと変わった本を紹介します。

『CLOUDBUSTER PROJECT MAROC』という小さな本。
 クラウドバスターとは、精神分析家、ヴィルヘルム・ライヒが1950年代に提唱した、宇宙にある未知のエネルギー「オレゴン」を利用して、雲を消す装置のこと。(このページが参考になります。
 構造としてはけっこう単純で、底部分に水源があって、その上に何本かの金属パイプを束ねて、水を通し通電すると、オレゴンが放射されて、クラウドがバスターされる。というものみたいです。

 ドイツ人アーティスト、クリストフ・ケラーは、2008年、自作のクラウドバスターを駆ってモロッコへと向かいました。現地の鉄工所の職人たちの手を借りて、パワーアップしたマシンを完成させ、いよいよ雲へと立ち向かいます。
 高さ4,5メートルにもなる雲撃退装置の迫力に、近所の子どもたちも集まってきて、いよいよクラウドバスターの瞬間、果たして雲は撃退できるのでしょうか?
 プロジェクトの過程を追った映画のような写真が2枚と、要所要所での資料写真とが組み合わさって、3つのストーリーがページの中に同居する凝った構成もポイントです。

 風が吹けば雲なんて飛んでっちゃうのに人間ってやつは……。って多分みんなが思うそんな本です。