『わたしの欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール 著/中島さおり 訳

 ジョスリーヌはフランスの田舎町で手芸店を営んでいます。彼女の生活は慎ましいながらも満ち足りています。前経営者から引き継いだ手芸店の経営は順調だし、時間を見つけて書いている手芸についてのブログはささやかながら世界中にファンがいます。親離れした子どもたちが、たまにくれる近況も楽しみです。
 彼女の悲劇は近所に住む双子の姉妹にそそのかされて買った一枚の宝くじから。一枚だけのくじが大当たり。キャリーオーバーで賞金はなんと1800万ユーロ!
 受け取り先の銀行で、大金を手にしたことで人生が狂ってしまった人の例を散々聞かされた彼女は、小切手を靴の中敷の下にはさみ、誰にも内緒にすることにしました。
 夫のジョーがずっと欲しがっているポルシェのカイエンやセイコーのクロノグラフも買ってあげたいけれど、そうすることで彼との関係が壊れてしまうのが恐い。
 ほしいものリストをノートに書き、気が向けばアップデートして、それらが手に入った生活を夢想するのが精一杯。
 そんな中、皮肉なことにブログから火がついて彼女の手芸店は大繁盛。ついには売却することになります。お金の束縛から逃れられた彼女は第二の人生を歩もうとしますがその時……。

 どうなったかというと旦那が家出してしまいます。偶然みつけた小切手を持ち逃げして、彼女の元から姿を消してしまったのです。

 その後のジョスリーヌとジョーの人生は見事に好対照。予想通りとも思えるし、こうなって欲しいというみんなの思いの通りとも言えます。本作がフランスで大ヒットというのもなんとなく頷けます。

 自分だったらどうするでしょう? 大人の家出はすなわち自分の存在理由のけっこうな部分を捨て去ること。つまりお金を取るか、今までの人間関係を取るのか。
 人生をも変える&買えるお金の話でした。