『メタボリズム・トリップ』チャーリー・コールハース 著

 友人の紹介で、スイス人女性が東京に遊びに来る時の案内を頼まれました。事前にメールをやりとりしたところ、日本の建築に興味があり、特に関心がある建築家は篠原一男だそう。
 篠原一男?
 彼は、主に60-70年代に前衛的な建築作品を一貫して手がけた建築家で、個人住宅が多く、見学できる建物はあまりありません。
 さて、いったいどこを案内すればいいのでしょう?
 結局、一緒に神保町の古本屋街を回ったり、銀座でカメラ屋さんを回ったりして、まあ楽しんでくれたようだけど、その後彼女が沖縄に行ってしまった後、思い出したのが『メタボリズム・トリップ』。
 建築家レム・コールハースの娘、チャーリー・コールハースが、日本で60-70年代に建てられた10のメタボリズム建築を巡った写真集です。
 東京だと、銀座にある黒川紀章の中銀カプセルタワービルや、槇文彦の代官山ヒルサイドテラスなどが載っています。
 チャーリーさんは社会学者でアーティストだそうで、建築家でも写真家でないためか、同じような写真も多く選びきれてない感じもするし、何を撮りたいのかというポイントも不明確。日記風の感傷的な評論文もけっこう謎です。
 でも、それがいいという気もします。
 誰かの旅を追体験できるのがガイドブックの良さだとしたら、個人的なほど面白いし、その文章も旅感を高めています。
 スイス人の彼女、もうすぐ東京に戻ってくるのでこの本を渡そうと思っています。