『木に持ちあげられた家』テッド・クーザー 作/ジョン・クラッセン 絵/柴田元幸 訳

 昔からの習慣で40過ぎていまだに半ズボンをはいていたりしてて、それはもう個人の趣味嗜好なので別にいいのですが、成長とともに変化していくのが家の問題。どこに住むか、どんな家に住むのか、現在の自分(と家族)とフィットする家を見つけるのは、常に大きな問題です。

 「家族とともに成長していく」と家のことを表現することがありますが、ということは家族とともに家も老化していくのでしょうか。

 アメリカの詩人テッド・クーザーの物語に、カナダ生まれのイラストレーター・絵本作家のジョン・クラッセンが挿絵をつけた『木に持ちあげられた家』は、バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』現代版といった趣の絵本。家族と、彼らが住む家の一生を描きます。

 『ちいさいおうち』と違うのは、家族の成長と、家の成長はパラレルになっていて、同じペースでは進んでいかないということ。

 子どもたちは成長につれて、家を出てそれぞれの家庭を持ち、父親は歳を取り、ついには家を見捨てます。しかし、家はずっとそこにあり続けます。

 その家を、ある意味で救ってくれるのは、同じ場所にあり続ける自然。一本の木がこの家を持ち上げ、木の上に建つツリーハウスにしてしまうのです。

 家という人工物がツリーハウスという、木と共生するいわば半自然物になっていくさまは、成長→老化という人間の一方向的な生き方を裏切って、どこか痛快です。

 結論じみたことを言うなら、老化というより、いつだって変化していきたいものです。