『家族と一年誌「家族」』

 年をとることについては、すでに5年ほど前から考えているというポーズを取ってきた僕ですが、実際のところ「老い」について考えだしたのはここ最近のことです。
 それは、自分が死ぬまでにやり終わらないだろうなあってことが出てきたからかもしれません。
 それは仕事の達成というよりは、どんな生活をしていくかという話で、それはやりきって終わりというよりは、継続しながら高めていく方向を目指していくのかなと思っています。
 となると、それを引き継ぐ相手は必然的に家族になります。(本人たちは全く知らないと思いますが。)

 『家族と一年誌「家族」』という新しい雑誌は、一つの家族についての雑誌です。鳥取県、大山のふもとに、夫婦と息子一人そして犬一匹と暮らし始めた谷本家。何度もその場所を訪れ、一年間かけて取材したのは、こちらも中村家という一つの家族です。
 巻頭の創刊文で、編集長の中村暁野さんは「どうしたら幸せになれますか?」と自分(と読者)に問いかけます。彼らの答えは「家族」でした。

 水も電気も通っていない森を開き、まずは料理を作るための台所を作り、木々を集め自分たちが生活するための小屋を作り、それをつないで、来た人たちが滞在するための家を作る。
 彼らの活動は、思いつきともてなしの心を携えながら、一歩一歩進んでいきます。それはきっと終わることはないし、まさに家族という仕組みで行なうのに最適な活動に思えます。

 「老い」なんて言葉で彼らの活動を表現するのは、本人たちには心外かもしれませんが、肉体的や精神的な衰えではなく、自分だけではどうしてもできないことがあることで、それを継続して行なっていくためのやり方を考える。老いとは、そんな状態を指し示す、なかなかいいもののような気がしています。