『コントロールされた線とされない線』中村竜治 著

 僕が建築家の中村竜治と初めて会ったのは、2010年のDESIGNTIDE TOKYOだった。彼は、繊細な物の見方を大胆なアイデアで実現してしまう希有な建築家で、僕はとても尊敬している。
 例えば、幅18mmのリボンを10mm間隔で吊るしたコスチューム・ナショナルのエキシビションでは、リボンの1つ1つのたわみがグラデーションとなり、後ろの洋服たちを見せたり消したりしてしまう不思議なインスタレーションをしていた。
 図面上で定規を使えば直線を描けるけど、実際の建築物でほんとうの直線をつくるのは至難の業。素材がたわんだり、反ったり、膨張したり、収縮したりするからだ。中村竜治の作品は、そういった「コントロールできない」ということを前向きに捉えながら、建築という「かたい」装置を「やわらかく」解きほどく魅力が溢れている。
© ryuji nakamura & associates