『ヒップな生活革命』佐久間裕美子

 2月にニューヨークを訪れた際、驚いた。大手のチェーン書店は閉店し、中小規模の個人書店が盛況。人々が吸い込まれていくカフェも、日本でも見かける大型のチェーン店ではなく「サードウェーブ」と呼ばれる地域密着型の小さな店なのだ。
 今、アメリカでは、これまでの生活価値観とは異なる意識を持った人々が集まり、新たな流れを生み出しつつある。自身もブルックリンに住まうジャーナリストの佐久間裕美子は、インディペンデントな彼らの活動を、新しいうねりとみなしている。
 彼らは、買い物も大手量販店ではなく地元の個人商店を選ぶ。主な移動手段は自転車で、コンピュータは必ずMac(個人的にはMacも最近はマクドナルドと変わらない気もするけれど…)。様々な特徴が綴られていくが、つまり彼らは、人としての心地よさが失われたグローバリズムの波に反旗を翻し、身近で手触りを感じられる、ヒューマンスケールな単位で生活を送ろうと抗う人々なのだ。
 世界の大きな潮流に逆らい、先鋭的なセンスで自活する彼らのサヴァイブ能力を、佐久間は「ヒップ」という言葉で表現する。
「自分か、自分のボスになって生活をコントロールする」という本書のなかの言葉は、残業まみれでシステムを成り立たせている僕らの日々に、どきりと刺激的な釘を刺す。自分の在り方は、会社でも社会のシステムでもなく、あくまでも自分自身で決めたいとあなたが願うのならば、新たなアメリカのうねりは、必ず日本にも伝搬するはずだ。