プープーの物語

■時代の盲点を突く異種勾配音楽は、かぐわしきワン・アンド・オンリー!
1998年―1999年に出版社リトル・モアとニューエイジシネマを発信し続ける映画館=テアトル新宿が タッグを組んで提供した《リトルモアMOVIES》 の第一弾として公開された、渡辺謙作監督作品『プープーの物語』。 音楽を担当したのは、CM王としても知られる巨匠・三宅純。劇中に使われた音をコンパイルしたサウンドトラック!! 。

■Track List
01.Blue, too blue 02.Pianicalypso 03.Blue Sky Bossa 04.Blue Car 05.Slow Murder 06.Trunk Man 07.It's him again 08.Foo's Dilemma-1 09.Weapon Beats 10.Bloody Tango 11.Foo's Dilemma-2 12.Metro (bonus track) 13.Foo's Dilemma-3 14.Foo's Dilemma-4 15.What's ringing? 16.Foo needs me? 17.Little Yellow Butterfly 18.Pianicalypso Again 19.Gone with the Rainbow 20.Mute (bonus track)

■三宅純さんのこと 文・渡辺謙作(映画監督)
爪を噛んだりしないし、頭をグシャグシャ掻きむしったりもしない。
そんな時はズバッと切り込むんだ。曲げることの出来ない信念というヤツだって持ち合わせているのさ。

映画『プープーの物語』で音楽を担当してくれた三宅さんから受けた第一印象はそのようなものだった。
そう、確かに三宅さんは冷静なスタイルを貫いている人なのだ。初めての対面時、僕はこの冷静な年長者に自分の体から出るボロをバレないようにするので精一杯だった。しかししばらくして気付いた。この人は他人のボロをボロだからと言う理由で嫌う人じゃない、と。撮影が終了し、具体的な音楽の打ち合わせが始まった。音楽的教養に欠ける僕は二言三言しゃべるだけで、後はヘラヘラと笑っていることしか出来なかった。なにしろ僕が口にした音楽用語は「マリンバ」の一単語しかなかったんだから。でもそれでも、三宅さんは僕の真意を汲み取ってくれた。デモテープを初めて聴いた時の興奮たらなかったんだ。この音楽の中にオレがいる、と自信を持って言えた。そして、その時、三宅さんの瞳は奇妙に温かかった。まるでスープ鍋の掛けられた薪ストーブのように。

三宅さんの仲間たちが集合し、映画のための音楽を録音する。再び、三宅さんの瞳にあの奇妙な温かさが見える。僕はわかった。ああ、これは慈愛だと。マフィアのボスが家族に向ける眼差しだ。うらやましいと素直に思えた。温もりのある冷静な関係を三宅さんは築き上げているんだ。その輪の中に入りてえな。ちきしょー、俺だってあの目でもう一度見られてえよ!

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