夢二

絵描きはたいてい女好き。
惚れろ惚れろ女ども。
男は甘えて膝枕、
夢の話を繰り返す。


大正浪漫を象徴的に生きた男に想を得て、清順美学はいよいよここに炸裂!女たちとの愛憎を漂泊し、詩を画にうたいあげた画家・竹久夢二。芸術家ゆえの苦悩に悶え苦しみながら、かつ紙風船のごとく軽やかに色香をただよわせる男を、『カポネ大いに泣く』につづいて沢田研二が見事に演じる。赤く染まる紅葉の金沢を舞台に、妖艶なスペクタクルが繰り広げられ、“浪漫三部作”の掉尾を華麗に飾る。
宝塚歌劇団でトップを極めた毬谷友子が映画初出演、『青春の殺人者』『太陽を盗んだ男』の監督ゴジこと長谷川和彦が俳優デビュー、そして坂東玉三郎は初の本格的な「男役」での登場と、清順映画ならではの豪華な顔ぶれがスクリーンを彩り、いよいよ華麗な、目も綾なスペクタクルの花火が打ち上がる!


Story
シルクハットの人の群れと、ふわふわと舞う紙風船。かきわける夢二(沢田研二)。フロックコートの男と向き合い、夢二はふざけ半分に引き金を弾くが、もとより当てるつもりはない。しかし男はゆっくりと、正確に、夢二に銃口を向ける。竹久夢二は悪夢にとりつかれている。
駆け落ちを約束した恋人・彦乃(宮崎萬純)とは金沢の湖畔で落ち合うことになっている。一足先に向った夢二は銃声を聞く。隣の村で殺人があり、山狩りをしているのだと旅館の女将(大楠道代)が告げる。妻と妻を寝盗った男・脇屋(原田芳雄)を殺して山に逃げ込んだのは鬼松(長谷川和彦)だ。浮かび上がってくるはずの夫・脇屋の死体を待つ女・巴代(毬谷友子)と湖上で出会う夢二。逢瀬を重ねる夢二と巴代。忍び寄る脇屋の影。フロックコートの男は脇屋だったのだ。悪夢が現実となって夢二に迫る。彦乃は待てどもやって来ない。そして鬼松は大鎌を振りかざして脇屋の影を追う。東京から彦乃の手紙を携えてお葉(広田玲央名)がやって来る。お葉は夢二に惚れている。立会人の天才画家・稲村御船(坂東玉三郎)は魔界の死者か? 紅葉の金沢—いつしか湖は血の色に染まり、もはや時さえ立ち止まる。


出演/沢田研二、坂東玉三郎、毬谷友子、宮崎萬純、広田玲央名、
大楠道代、原田芳雄、長谷川和彦、麿赤児

監督/鈴木清順
脚本/田中陽造 撮影/藤澤順一 照明/上田成章 美術/池谷仙克
録音/橋本文雄 音楽/河内紀、梅林茂 編集/鈴木晄
記録/内田絢子 洋装/永沢陽一 写真/荒木経惟 製作/荒戸源次郎
1991年/荒戸源次郎事務所/128分/ヨーロッパ・ヴィスタ