『ちいさこべえ』望月ミネタロウ 著/山本周五郎 原作

 江戸の町を舞台に、大火ですべてを失った若き大工の棟梁が、再出発する様を描いた山本周五郎の時代小説『ちいさこべ』を、漫画家の望月ミネタロウが舞台を現代の工務店に移し、再出発させたのがこの『ちいさこべえ』です。
 すでに「再出発」が2つも出てきたのでこれで終わりにしてもいいくらいですが、もう少し書くと「ちいさこべ」とはもともと日本書紀に出てくる話だそうです。天皇に「蚕(こ)」を集めて来いと命じられて、間違えて、たくさんの「子(こ)」どもたちを集めてしまったために、小さな子どもたちの面倒を見ることになってしまった男、「ちいさこべのすがる」のこと。
 その「すがる」のように、若き棟梁の元には身寄りのない子どもたちが集まってきます。身寄りのない子どもの目線から描かれた松本大洋の『Sunny』とは表裏をなすような設定ですが、大人にも悩みや嫉妬や逡巡があって、それを抱えながらも子どもにだけは誠実であろうと、若棟梁と住み込みで働く女性、りつは奮闘します。まだ連載は続いていて、これからは子どもたちの再出発があるのかもしれません。