『読む時間』アンドレ・ケルテス 著/渡辺滋人 訳

 1894年ハンガリー生まれの写真家、アンドレ・ケルテスが1971年に発表した写真集が『ON READING』です。被写体は全て読む人々。路上で新聞を読み耽る少年、天蓋付きのベッドで半身を起こし本を開く老婦人、日本の古本屋の店頭で本を選ぶ親子らしき二人連れもかいま見ることができます。
 ケルテスの代表作の一つであるこの本、本屋にとっては、本好きの人に必ず刺さる、マストで並べたい一冊なのですが、なぜかしばしば手に入りにくくなることがあります。出版社もコロコロと変わっていて、オリジナルは1971年にGrossman Publishersから発行された後、1975年にはPenguin Booksから、そして2008年には、W.W.Norton & Companyからリイシュー版が発行されました。
 日本でも、1993年に『オン・リーディング』のタイトルでマガジンハウスから発行された後、長い間手に入りづらくなっていましたが、2013年末に『読む時間』の名で創元社から再出発となりました。パチパチパチ。
 再出発にあたり、巻頭には谷川俊太郎の詩「読むこと」が収められています。
 この本がタイミングによって手に入らなかったりする問題も本ならでは、そして再出発するのはいつも、本についてみんなが何かを思うタイミングでもある気がします。
© André Kertész & Sogensha Inc